家族葬が選ばれる理由

家族や親族、親しい友人・知人で小規模に行う葬儀形式のことを家族葬と言います。最近では感染症拡大防止も踏まえ少人数の葬儀を希望される方も増えており、家族葬を選ぶ方が多くなっています。

この記事では、家族葬について、流れや選ばれている理由、費用や喪主遺族として気をつけること、家族葬に参列する場合の参列基準や服装、香典マナーについてご紹介します。

家族葬とは?

 

家族葬とは、家族や親族、親しい友人・知人を中心に、小規模に行う葬儀形式のことです。故人と生前に深い関わりのあった方と別れを共有することで、充実した時間を過ごすことができます。「家族葬」にははっきりとした定義はありませんが、参列人数は1~30名程度で、一般的な葬儀と同様にご僧侶をお呼びすることが多いです。

家族葬の流れ

 

家族葬の流れは、基本的に一般的なお葬式と一緒で、通夜の翌日に告別式を行い、火葬をします。参列人数が少ないため、所要時間はお通夜であれば40分程度、告別式は40~50分程度と一般的なお葬式より短くなるのが特徴です。ただし、火葬については工程が同じのため、一般的な葬儀と同様に1時間~1時間半程度が目安です。

家族葬が広まった背景

 

家族葬が広まった背景として、まずは地域のコミュニティーの変化が挙げられます。昔は地元で就職する人の割合が高く、産業を地域ぐるみで盛り上げていこうとする地域の縁は、非常に強固なものでした。

それに対して現代では、就職といえば都心部へ出ることが当たり前になっています。その分だけ地域コミュニティーも希薄になっており、葬儀に大勢の人を呼ぶことの意味も薄くなってきているのではないでしょうか。

もう一つの理由は少子高齢化です。少子化で兄弟の少ない家庭が増えれば、お葬式を行うにしても一人あたりの負担が増えます。経済的な理由で盛大には行えない場合も出てくるでしょう。また、故人が長生きすればするほど、その分疎遠になっていく知人も多くなります。つまり疎遠になった方まで、お葬式に呼ぶ必要があるのかという疑問が出てくるのです。

これらのさまざまな事情を踏まえて、家族葬は現代のニーズに沿った葬儀の形といえます。

 

密葬との違い

密葬も家族葬と同じように、親族や親しい友人だけで行われます。何が違うのかといいますと、密葬には「本葬以外に、親しい間柄の方と故人がゆっくりとお別れする機会を設ける」といった意味があります。つまり、後日に改めて大勢の方を招く告別式を行うことがあるのです。

密葬は芸能人や企業の社長など、特別に広い人脈を持つ方に多く見られます。「親しい間柄だけの時間は設けたいけど、大勢にお声がけしないわけにはいかない……」といった事情を持つ方に選ばれているのです。

以前は、本葬を行わない場合も身内だけで行うものは、同じように密葬と呼ばれていました。しかし呼び方を分けないと、案内を受けた方が「本葬があるのかどうか」わかりにくいということで、家族葬という呼び方が定着したのです。

家族葬に向いているケースとは?

家族葬は、身内だけで静かに故人を見送りたいという方のほか、知人にお声がけしてもあまり大人数にはならない方にも向いています。

葬儀に呼ぶ方が少ない場合、香典の額も少なくなり、大規模な一般葬を行うと大きな赤字になってしまう場合があります。反対にお声がけする人数が多い場合、大人数招くことができる一般葬を行った方が費用を低く抑えることができる場合もあります。こういったことから、故人への気持ちだけではなく、故人の交友関係も踏まえたうえで選択するのが良いでしょう。

 

家族葬が選ばれている理由とメリット

 

家族葬を選ぶ方が増えている理由として、家族葬は現代の価値観に合っていることが挙げられます。近年、故人が高齢で付き合いのある友人があまりいないケースが増えています。そのため参列人数は減少傾向にあり、お葬式は小規模になってきています。

このことから、自分が亡くなった時には大規模なお葬式をするのではなく、気心の知れた家族や身内だけで静かに見送って欲しいと考える方が多数派であることが分かります。家族葬は、現代の価値観に合った葬儀形式であると言えます。

また、従来の大規模に行うお葬式と比較して、大幅に費用を抑えることができるなど、さまざまなメリットがあります。家族葬のメリットは次の通りです。

故人と落ち着いて別れることができる

一般的なお葬式では、多数の参列者に気を配りながら対応しなければなりません。それに比べて気心の知れた方のみで行う家族葬は、遺族の気持ちの負担を軽くすることができます。家族での時間をゆっくりと取ることで、思い出話などをしながら、故人との別れに向き合うことができるのです。

自由なお葬式ができる

家族葬は親しい方のみで行うため、世間体にこだわることなく、自由な内容の葬送を執り行えます。例えば、故人が趣味で作ったものを展示する方もいらっしゃいます。

料理や返礼品の自由度が高い

大勢の人を招く一般葬では、料理や返礼品の準備を葬儀社に依頼するのが一般的です。しかし、家族葬であればおもてなしをする人数も少なくなります。そのため、葬儀社に依頼するのではなく、行きつけのお店で食事をしたり、返礼品を用意しなかったりという選択をされる方も多くいます。参列者の人数が少なくなれば、遺族の判断で臨機応変に対応できるのです。

費用を抑えることができる

一般的にお葬式は参列者が少なくなるほど、かかる費用が少なくなります。つまり、一般葬に比べて小規模な家族葬は、費用を抑えることができるのです。

しかし、お葬式自体は安く行えても、赤字の割合はいただける香典の額によっても変わってきます。両方を踏まえた収支のバランスで、最終的な赤字の割合が決まることを念頭におきましょう。

 

家族葬のデメリット

 

少人数でお葬式を望む方にとって、家族葬は一見メリットばかりのように映ります。しかし、デメリットになる部分もあるのです。ここからは、一体どのようなデメリットがあるのかを見ていきましょう。

トラブルに発展しやすい

家族葬で招かれる「親しい間柄の方だけ」という基準は非常に曖昧なものです。そもそも「親しい」というのは個人の感覚でしかありません。つまりお声がけする方の線引きが難しく、「どうして呼んでくれなかったのか」と不満を訴える方が出るなど、トラブルに発展してしまう可能性があります。

こういったことを防ぐため、故人の知人には葬儀前にひととおり連絡しておく必要があります。事前に連絡しておくと事情を理解していただける場合も多く、事後報告よりもトラブルには発展しにくいのです。多くの方は呼ばれなかったことではなく、知らされていなかったことに対して不満を持つということでしょう。

葬儀後に弔問に訪れる人が多くなる可能性がある

葬儀を身内だけで済ませるということは、それだけ故人との別れに立ち会えない人の数も増えるということです。こういった理由から、葬儀後に自宅に弔問に訪れる方も一般葬に比べて多くなる場合があります。

一度に参列するのではなくバラバラに来客があるわけですから、その分遺族が対応しなければならない機会が多くなります。相続関係の手続きなども並行して行わなければならず、その負担は決して小さいものではないでしょう。また、故人の知人ではあっても、面識の浅い人を自宅に招くのは気の進まない場合もあるでしょう。

 

家族葬を行う場合に気をつけること

 

メリットの多い家族葬ですが、実際に行う場合に気を付けておきたい事もあります。

●訃報を知らせる方
故人の兄弟姉妹には知らせるのが無難です。年賀状などで親しい友人の存在を確認するのもよいでしょう。伝える方を少なくすることで、大切な方に声をかけ忘れてしまうことがないようにしましょう。

●参列者の人数
参列者が多くなりそうな場合は、一般葬を選ぶほうが良い場合もあります。基準として50名を超えるようであれば「一般葬」になります。お葬式に参列できなかったことで悔やまれる方が出ないように配慮しましょう。

●葬儀後にすること
亡くなったことを知らせずに家族葬を行った場合は、葬儀後、近しい方に事情を書いた挨拶状を出して理解を得ることをおすすめします。また、葬儀後数日たってから弔問に訪れる方もいるので、急な来客にも対応できるように、自宅には会葬返礼品を用意しておくとよいでしょう。

 

家族葬での遺族マナー

 

家族葬を行うならどこまで呼ぶべきか

一般的に家族葬は近親者のみで行うものですが、どの関係性の親族に案内すべきか迷うところです。

家族葬に参列してもらう親族・近親者の範囲は、一般的には直系の家族、故人の子どもの家族、故人の配偶者の家族、故人の兄弟までを含むとされています。「〇〇の関係の方まで参列してもらう」とはっきりさせておくのも良いでしょう。

 

家族葬を行う場合の訃報連絡

家族葬でも訃報連絡の方法は、一般のお葬式と同じです。連絡内容としては、お葬式の日程や場所などを伝えます。

近親者であってもお呼びしない場合には、事前にはっきりと伝えておくか、葬儀終了後に「家族葬にて行いました」と告げるとよいでしょう。

会社に対してするべき連絡や対応

亡くなった方やその遺族が会社員の場合は、会社への連絡が必要です。亡くなった本人が会社員であれば、会社側も対応することがありますので、家族葬で身内だけのお葬式を行うのであればその旨をしっかりと伝えましょう。

また、ほとんどの会社で忌引休暇を取得できるようになっているので、就業規則に従い休む間の仕事のサポ―トもお願いしましょう。このときも、会社によっては香典や弔問の段取りをすることがあるので、家族葬で行うので弔問は辞退することを伝えます。

会社への連絡は、直属の上司か総務担当者に、まずは電話で報告することが望ましいです。誰が亡くなったのかを伝えて、休みを取得するための手続きを確認しましょう。お葬式を家族葬で行うこともしっかりと伝えます。

参列をお断りする方への対応

参列を遠慮していただく場合、お葬式についての連絡を事前に入れず、終わってから報告するのが一般的です。または、参列を遠慮していただきたい旨を明確に伝えましょう。ここではっきり伝えておかないと、相手方も迷われてしまいます。失礼にならないよう、その理由も添えます。故人や遺族の意志で、近親者のみで葬儀を行うことを明記しておけば、納得していただけると思います。

喪主や親族の服装は?

通常なら家族葬と一般葬で服装の違いはありません。喪服を着るというのは故人の死に対する気持ちを表したものですので、お葬式の形式によって違いはないのです。この場合、正喪服と呼ばれるものは、男性なら黒のモーニングコート、紋付き羽織袴、女性なら黒のワンピース、着物などになります。

しかし、家族葬の場合、身内だけのお葬式ということもあって、参列者の了解を得て平服で参列することもあります。平服とは「そこまでかしこまらなくても良い」という意味で、男性の場合、モーニングコートではなくダーク系のビジネススーツで代用することも認められるでしょう。

また、家族葬の場合「おおげさに喪主と参列者を分ける必要はない」と考えられることも多く、モーニングコートではなく、よりスーツに近い礼服を着ることがあります。正喪服を着るにしても礼服を着るにしても、親族間では服装を揃えるものです。いずれも親族間で相談したうえで決めることが大切です。

 

家族葬への参列マナー

 

参列するべきかどうか判断するには?

基本的に家族葬では、喪主・遺族側から参列願いの案内があった場合のみ参列をします。 そのため、遺族からの案内がない状態で参列することは控えましょう。

家族葬に参列する際の服装

家族葬に参列する際の服装は、遺族がどのような考えでお葬式を行うのかによります。

家族葬では、遺族も準礼装(正式礼装より格を下げた服装)を着用することが多いようです。家族葬に参列する側としても、服装について特に案内がなければ準礼装にするとよいでしょう。

男性はブラックスーツまたはダークスーツで、職場から向かうのであれば靴下・ネクタイをダークな色のものに替えるとよいでしょう。女性は洋服なら地味な色のスーツやワンピースが適切です。

 

まとめ

 

家族葬は一般的な葬儀に比べるとゆっくりとお見送りができ、価格を抑えて執り行うことができる反面、限られた人数しか参列できないため、トラブルに発展してしまうケースもあります。この記事を参考にメリット・デメリットを考慮した上でどのようなお葬式を行うのが故人や遺族にとっていいのかしっかり話し合って決めてください。

また、参列者も遺族の気持ちを汲んでマナーを守って参列するようにしましょう。

故人を偲んで最後のお別れを悔いのないものにしてください。