終活の豆知識㉑(再び注目されてきた自宅葬)
改めて注目される自宅葬
自宅でのお葬式と聞くとひと昔前のお葬式の形と思う方も多いと思いますが、改めて自宅葬の需要が増えつつある。その背景と現代の自宅葬をかぐやの里メモリーホール富士のエンディングプランナーの中村雄一郎さんに聞いた。
昔の自宅葬
昭和はほとんどが自宅葬であった。葬儀会館という施設が無く、会葬者も遠方からの参列は少なく近所の方がほとんどであったことから、自宅でお葬式を行い、自宅から送りだすことが一般的でした。各町内には椀小屋や公会堂に、座布団や茶わん湯飲みが有り、町内の方が手伝いお葬式の準備をしていました。一方で、自宅の片付けを行い室内に幕を貼る手間がかかることが欠点でした。
自宅葬が改めて増えている理由
お葬式の小規模化が大きな要因です。遺族のみ10名前後のお葬式というのも、珍しくなくなってきました。少人数で行う場合、体裁や豪華さなど気にしない方が多く、敢えて葬儀会館を使う必要もないことから自宅という選択肢が生まれます。また、少人数であたたかく送りたいという思う中で、慣れ親しんだ場所からと希望される方もいらっしゃいます。
自宅葬のメリット
①費用 とにかく余分な費用がかかりません。葬儀会館を使わないので、祭壇費などの装飾費なども抑えられます。現在は昔の様に家全体に幕を貼ったりテントを建てたりもしないので、お葬式に必要な道具も最低限度で行えます。
※写真1 キャプション:5名の自宅葬の様子(自宅リビング)
②思い出と共に過ごせる 慣れ親しんだ自宅だからこそ、趣味の品々を並べたり、手入れをしていたお庭を見ながらなど、こだわりの中で送り出せます。思い出の中に囲まれながら過ごすことができます。
※写真2 キャプション:廊下などにもアレンジ花を飾り付け
自宅葬のデメリット
①最低限の片付け ご安置するお部屋とお葬式をするお部屋の片づけは必要です。人が入れるようにスペースを空ける必要があります。
②ご近所への案内 お葬式への参列はご辞退する場合などは、自宅にご安置した直後から近隣や班にお伝えしておきましょう。すると、お葬式の前日までにお線香をあげに弔問に来る方もいらっしゃいます。早めにお返し物を用意して、対応すると便利です。
自宅葬でもこだわりのお葬式
かぐやの里メモリーホール富士では自宅葬を受けるにあたり、しっかりとこだわりを伺い対応します。先にもあったように近隣への配慮や案内方法、また駐車場対応からお寺対応など、早めにサポートしてリスクヘッジします。その上で、あたたかく見送りができるように準備を整えます。
※写真3 キャプション:自宅葬での生花祭壇
自宅葬でも花祭壇が多いです。白木祭壇と生花では費用がかさむことから、納棺用の花としても利用できるよう花祭壇を選ぶ方が多いです。白木祭壇よりコンパクトで場所も取りませんし、費用も抑えられます。
温故知新
昭和はほとんどが自宅でしたが、平成になって葬儀会館が主流になりました。そしていつしか、お通夜に焼香をしに行くことが一般的となってしまいました。遺族も、故人を偲ぶより、弔問の方への対応に追われてお葬式が終わるということが多々ある中で、改めて思い出が詰まった場所から静かにあたたかく送り出したいと思う方が増えてきました。時代の変化と共に、改めて浅く広いお別れ場から、深いお別れへ場へと変化していると実感します。