終活の豆知識⑮(香典について)

「お葬式代をお香典でまかなえるの?」や「一般葬と家族葬でお香典を含め自己負担はどちらが多いの?」とお香典にまつわる質問をよく受けます。様々な地域的要素も含まれるお香典の全国的と富士市の事情について、かぐやの里メモリーホール富士の中村雄一郎さんに聞いた。

お葬式費用はお香典で全てカバーすることができるのか?

結論から言うと、ほとんどの場合でカバーすることはできません。昭和の自宅葬当時は可能でしたが、平成になって会館葬になり事情が大きく変わってきました。一般葬でも家族葬でも自己負担は出ること多いです。

お葬式事情の変化

全国的な事情ですが、昭和の時代では地域でお葬式を補うものでした。自宅や集会所で、地域の方がお葬式を手伝ってくれたことで、費用が今ほどかかりませんでした。会場費は自宅・祭壇は公会堂にある地域のもの・食事はみんなで炊出し・お香典返しは家庭で使える砂糖など安価な日用品など、お葬式にかかる支出が今より極端に低かったので、頂くお香典の範囲内で十分に補えました。更にたくさん会葬者が集まれば余剰分までありました。

しかし、平成になって葬儀会館が一般的になり、大きな白木祭壇、大きな式場、たくさんの生花、お寿司や懐石など立派な食事、お香典返しの郵送後送りなど、品物などのグレードが上がり葬儀社への支払いが増えました。会葬者が集まればその分の支出も増える仕組みになっているので、入りも増えれば出も増えることになります。結果的に家族葬より一般葬の方が自己負担の多いケースが増えました。

富士市のお香典から見るコストパフォーマンス

より富士市に特化した事例として、富士市のお香典相場で大多数のお香典が3,000円であると考えた場合、一般葬での自己負担が増えるケースが多いです。大勢の参列を見込んで大きい式場にすれば、大きい式場サイズに合った大きな祭壇・生花の追加・スタッフ追加・食事の追加と予備・正面看板など装飾品・お寺様の人数増(お布施額の変動)など、追加項目が増えて支出も大きくなります。先ほども述べた通り、葬儀会館で葬儀を行う場合は、参列人数が増えればお香典額も増えますが、支出額も増えます。昔の様に、地域の施設やお寺で行えば支出も抑えられるので、条件が変わってくるでしょう。

この流れは、富士市だけではなく全国的なものです。一般葬の方が持ち出し(家族の実質負担額)が多くなることもあり、無駄のものにお金をかけないように家族葬(家族+親戚+知人友人)や密葬(家族+親族だけ)で行う方が増えております。安易に一般葬の方がお香典の数が多いから自己負担が少なくて済むと考えていると、計画通りにならないケースが多いです。昔と今の事情の違いを踏まえて、この仕組みを理解しておくことが大事です。

お香典相場の地域差

富士市内のお香典相場と近隣の関東圏のお香典相場の違いは、慣習の違いにあります。関東圏では、通夜式に参列した一般会葬者にも食事を提供します。よって会葬者一人当たりの支出単価が高いことから、お香典相場も少し高めになっております。最低でも5,000円以上包むことが多いです。

富士市を含め静岡県内では、一般会葬者に食事を提供することが無いので、地域の方や家族の知り合いなどは3,000円が多いです。

ご親戚や知人のお葬式で他地域のお葬式に参列する際には、その地域の事情を加味するのがよいでしょう。ただ、お香典は会費とは違い気持ちを表すものでもあるので、地域の事情だけでなくお世話になった方など関係性を考慮するとよいでしょう。

また、最近ではお香典返しの当日返しが増えております。沼津市や静岡市など近隣からの流れを受けて、富士市でも増えております。葬儀後の取りまとめの手間や送料軽減、また郵送ではなく直接お渡しできることからより丁寧な対応です。

お葬式はお金だけは無い

これまでの内容はあくまでお香典と葬儀費用の関係性であって、人と人とのお付き合いは別物です。昔は相手を思いやる気持ちの表れとして、お線香を手向けがてらお香典を渡していました。お香典はお金なので、わざわざ用意してもらうのは申し訳ないとご辞退する方もおりますが、元々はお互い様という心遣いです。お葬式の会葬はご辞退したとしても、お葬式の前後でお持ちくださるお香典に関しては相手のお気持ちとして受けることが良いでしょう。

貴方がお葬式を考える時に、どの規模のどんなスタイルのお葬式にするかしっかり理解した上で決めることが大切です。これまで述べたように、一般葬だから自己負担が少ないとか家族葬だから多いなど確認もせずに安易に選ぶと逆の結果になることもあります。お葬式はやり直しができないからこそ、費用はもちろん、故人様のことや家族の考えをふまえて、事前にある程度まで決めておくことが大事です。

積立や会員登録しているから安くなるわけでもありません。しっかりと総額で事前に確認しておくことが重要です。かぐやの里メモリーホール富士では、他の会館で葬儀を検討している場合でも規模や葬儀スタイルのご相談を承ります。大切な家族のお見送りだからこそ、少しだけ時間と勇気を持って準備をしてください。