コロナ禍における葬儀事情 終活の豆知識(51)
目次
新型コロナウイルス感染症が再度流行する中で、コロナ罹(り)患のお葬式について、多数の質問が寄せられています。感染者推移の上昇と共に、ご家族のみならず、医療従事者や高齢者施設スタッフなどからも対応について聞かれるといいます。最新の新型コロナ関連のお葬式事情について、かぐやの里メモリーホール代表の中村雄一郎さんに聞きました。(※新聞掲載は令和5年1月29日付)
第1波直後の状況
弊社は富士市で最初に新型コロナ関連のお葬式に対応しました。流行直後で著名人が新型コロナによって逝去したニュースが大きく取り上げられた際、死に目に会えずお骨になってから対面したということを、多くの方が知ることとなりました。その当時は、この感染症がどのようなものか、わからないことから、ご遺体に対して厳重な対応が求められました。私も初めて対応した際には防護服を着て完全防備で対応しました。
現在の状況
現在は「通常通り」です。通常通りとは、死因が新型コロナであっても、適切な処置をすれば特別な対応をする必要は無いと令和5年1月6日に厚生労働省からガイドラインの発表がありました。これまでも昨年から徐々に緩和されており、ご遺体への対応や火葬場の対応も少しずつ変化していました。
ご遺体への対応
これまでは、ご遺体を消毒してから非透過性ビニールシートにお身体を包んだ状態で納棺しておりました。そのまま棺を開けることなく火葬対応しておりました。現状では適切な処置をすればビニールシート等にお身体を包まなくても通常納棺で構いません。
ここ数年の治験で、お身体から飛沫が飛ぶリスクが限りなく少ないという見解から、通常通りのお身体のまま納棺が可能となりました。それにより、これまでのようにお顔を見られないということも無くなりました。入院中も面会が制限されている中で、最後は面会してお別れできるようになったことは、ご遺族にとって大きな変化と言えます。
火葬の対応
これまでは死因が新型コロナの場合は、夕方の時間帯など特別火葬枠を設けて火葬を行っておりましたが、現状では通常通りの対応となりました。死因に関係なく他の方と同じ時間帯での対応となりますで、ご家族の負担も減りました。特別枠での火葬時間の場合、会葬者への案内やお寺様との時間調整など様々な対応が求められていましたが、通常枠となったことで、これまで同様に対応ができます。
料金の変化
これまでは新型コロナ対応の場合は、葬儀社から特別料金を求められることが多く、火葬のみで50万円を超える請求があったとの話も聞きました。初期段階で不安定な状況下でのリスク管理であったとしても、新型コロナ死因の場合に高額請求をする会社が多く存在していました。これだけ緩和された状況では割増料金の減ってくるでしょう。かぐやの里メモリーホールでは、コロナ対応の場合でも特別料金や割増はございません。
これからの新型コロナ対応
現在、政府では新型コロナの感染症法の位置付けを5類に引き下げる検討がされています。変更となれば特別なことは無くなるでしょう。現状においてもかぐやの里メモリーホールでは、死因が新型コロナであっても通常通りの対応をしており、ご遺体のお預かり・通常の通夜告別式・お花入れなど対応が可能です。新型コロナが死因であっても他と変わりなくお葬式を執り行います。先にも述べたようにお葬式いについても緩和されているとはいえ、その情報が伝わっていないと感じています。
ご家族のみならず、医療従事者や高齢者施設の方々など、対応に不明不安な点があれば、遠慮なくご相談ください。質問だけでもお答えしますので、正確な情報の下で、お見送りして頂ければと思います。
富士市斎場と富士市立中央病院の対応
あくまでも私見ですが、このコロナ禍における富士市斎場の柔軟性と富士市立中央病院の対応はとても素晴らしかったと思います。弊社は近隣市町でもコロナ対応をしておりますが、その対応を見ると、未だにご家族に不都合な対応をする病院や火葬場があります。
富士市斎場は近隣火葬場に比べて、いち早く対応を緩和して受け入れをしてくれました。富士市立中央病院は、医療従事者の方々が、ご遺体に対しても、ご家族に対しても最大限の配慮をしてくださっていました。裏方である我々葬儀社から見た際に、故人様への尊厳を感じました。この場を借りて、富士市斎場と富士市立中央病院、そして富士市役所の皆様に感謝申し上げます。