オリジナル会葬礼状について 終活の豆知識 79

お葬式に参列すると、返礼品と一緒に会葬礼状(かいそうれいじょう)が添えられているのをご存知でしょうか。多くの場合、この礼状は定型文で作られており、喪主や施主の名前、お葬式の日付が印刷されている簡潔なものがほとんどです。しかし、かぐやの里メモリーホールでは、こうした形式にとらわれない「オリジナルの会葬礼状」を作っているとのこと。今回はその取り組みについて、エンディングプランナーの中村雄一郎さんにお話を伺いました。

一人ひとりの人生に語る「世界に一つの礼状」
「かつては私たちも定型文の礼状を使っていました。でも、100人いれば100通りのお葬式があるように、故人様一人ひとりに合わせた礼状が作れないかと考えたのです」と中村さん。
そこでご家族からお話を伺いながら、故人様の人柄や人生を綴ったオリジナルの文章を礼状として添える取り組みを始めました。それはまさに、故人さまを偲ぶ「小さな手紙」ともいえるものです。
作成方法は?負担をかけず、想いを形に
オリジナル礼状は、ご家族への簡単な電話インタビューから始まります。専任のライター役が、思い出や故人さまらしさについてお話を伺い、その後直接ご家族と接したエンディングプランナーと連携しながら、一つの文章を丁寧に仕上げていきます。内容は、喪主様やご家族のどなたかが語りかけるような文体に整えられ、「家族としての想い」が読み手に自然と伝わるよう構成されています。

ご家族にも参列者にも好評
出来上がった礼状は、まずご家族に確認していただきます。「読んで涙が出ました」「そのまま仏壇に飾りました」といった声もあり、多くのご家族から喜ばれているそうです。さらに、式に参列された方がその礼状を読んで「〇〇さんらしさが伝わった」「良い文章だった」とご家族へ声をかける場面も多く、温かな交流が生まれています。中村さんは「今は弔問だけの形が増えてお葬式にゆっくり参列する機会が減る中、礼状が故人様を感じていただける貴重な手段になっている」と語ります。
ご希望に応じて柔軟に対応
このオリジナル礼状は、返礼品の種類によっては無料で作成されているとのこと。また、他の葬儀社で行うご葬儀でも「礼状だけお願いしたい」との声に応えて、有料での作成も対応しているそうです。お葬式当日の会葬礼状だけでなく、四十九日後の「忌明け礼状」などにもオリジナル文章を用いることができます。
礼状を通して“グリーフケア”にも
中村さんは、過去に「グリーフケア(悲しみのケア)」を学んだ経験から、「故人のことを少しずつ語ることが、ご家族の心の整理にもつながる」と感じているそうです。インタビューでは、懐かしい思い出を笑顔で語ってくださるご家族も多く、文章を形にすることで、故人さまを想い続ける小さなきっかけになると信じていると語ってくれました。
礼状は、単なる紙の一枚ではありません。故人様の生き様、ご家族の想い、そして参列者への感謝が込められた、大切な“伝えの手紙”です。「ありきたり」ではなく、「あの人らしい」と感じられる礼状を通して、お別れをしてもらいたいと思っています。