終活の豆知識㊳感染症拡大で変化する一日葬

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感染症拡大で会葬人数が減少してお葬式の小規模化が進んでいます。お葬式を執り行わない直葬(ちょくそう)が増えている中で、少人数でもお葬式を行いたいと考えるご家族に増えているのが一日葬です。コロナ禍で変化する一日葬について、かぐやの里メモリーホール富士の中村雄一郎さんに聞いた。

一日葬とは

一日葬とは、通夜式や前夜祭が無く葬儀告別式だけ執り行う形です。これまで一般的だった通夜式と葬儀告別式を両方執り行う形を二日葬と呼ぶようになりました。お寺様や神主様などの司式者を一日だけお呼びするのが一日葬、二日間お呼びするのが二日葬です。

一日葬が増えた背景

昭和のお葬式は自宅で近所の方と行うお葬式が一般的でしたが、平成になって葬儀会館でのお葬式が一般化して葬儀は地域を離れて、富士市でも地区ごとあった特色も薄まりました。かつてお葬式は二日間執り行う一択でしたが、社会環境の変化に伴いお葬式のやり方の選択肢も増えました。お葬式の形として、二日葬(通夜と告別を行う)・一日葬(告別のみ行う)・直葬(火葬のみ)などがあります。お葬式の規模として、一般葬(不特定多数で行う)・家族葬(家族と親族と親しい人で行う)・密葬(限られた人だけで行う)などがあります。

このようにお葬式が細分化された理由として、高齢者の会葬が増えた・家族や親族の遠方在住者が増えた・葬儀代金を抑えたい方が増えた・檀家離れが進んでいる・お葬式での体裁を気にしない方が増えたなど、喪家のニーズに合わせて葬儀社が様々な形を作り拡がりました。これは富士市のみならず全国に広がっています。

富士市でも増える理由

一日葬を選んだ方から良く聞かれる意見として、大きく二つあります。

一つ目は、家族親族でも二日間お招きすることに抵抗がある。家族が遠方在住で、新幹線や飛行機を必要とする場合は感染症拡大で来ることが出来ないこともあります。また、高齢者の場合は一堂に会する場所にはなるべく滞在したくないというケースがあります。よって、お通夜式は参加せずに、告別式と火葬だけに立ち会う一日葬を希望するケースが増えました。

二つ目は、弔問時間を増やしたい。感染症拡大で一般葬がほぼ無くなり、お通夜式前や告別式前に一般会葬者はお焼香だけ案内して儀式は家族親族だけという、弔問型家族葬が定着しました。しかしながら、お通夜式前の短い時間で大勢の弔問を受けるとやはり流れ作業になってしまうので、弔問を60分間や90分間の時間を取ることで、弔問の方々に個別の御礼挨拶やご面会時間をゆっくり取れるようにしたいという希望があり、通夜式を行わないで弔問時間がより長く取るケースが増えました。

一日葬のメリット

①高齢者など通夜時のための夜間外出の負担が減る。

②遠方親族の宿泊負担が減る。(告別式のみ日帰りが可能)になります。

③費用負担が減る。

④弔問時間が長く取れる。

⑤家族親族でゆっくり過ごせる。

一日葬の注意点

お寺様のお考えによっては通夜式の読経を省略できない場合もあります。菩提寺が有る方は必ず確認しなければなりません。通夜式の読経にも意味があり、略さず執り行うことをお勧めするお寺様もございます。お布施に関して言えば、二日葬も一日葬もあまり金額は変わらないことが多いです。神道の場合は、通夜祭で遷霊の儀を執り行うので省略は難しいです。

一日葬はメリットを活かす

先ほど述べた通り、通夜式にあたる日に儀式が無いので自由に過ごすことができるので、弔問時間や親族会食など行うことができます。故人様と過ごす最後の夜をゆっくり過ごしたいという希望にピッタリと言えるでしょう。単純に簡素化しただけの一日葬では無く、より親族や会葬者の想いに合わることが出来ます。どんな形態であれお葬式の意味は大事にしなければなりませんが、様々なニーズに合う形を提案できるエンディングプランナーの提案も必要となります。儀式は大切にしつつも、様々な考えや希望をまずは仰ってください。

葬儀社選びは提案力

葬儀社選びの基準は「自宅から近い」で選ぶ方が多かったのですが、近年では「値段」「家族の希望に沿える」「提案力がある」という基準で選ばれます。小規模葬儀の場合はあえて自宅から近くで選ぶ必要はありません。『私たち家族は〇〇なお葬式を考えています』という問いに、しっかりと対応できるかが葬儀社に求められています。弊社は家族葬に特化して、先に述べた様々なお葬式の形をいち早く提供してきました。そのような実績からコロナ禍で、より多くのお引き合いを頂くようになりましたし、ご相談も急増しました。変化するのはお葬式では無くご家族のニーズであったり社会環境ですので、それに応えられるよう、日々の情報収集と提案力を向上して参ります。