家族葬の服装について 終活の豆知識62

目次

コロナ禍以降、お葬式の主流になっている家族葬。今や富士市でも約80%が家族葬となっており、全国的にもその流れは顕著になっています。家族葬の際、意外に分からないのが参列時の服装です。なかなか聞くことができない服装について、かぐやの里メモリーホール代表の中村さんに聞いてみた。

家族葬とは

実は家族葬の明確な定義はなく、一般的には家族、親族、親しい方々を中心に通夜式や告別式を執り行うお葬式のことと言われています。一方で、故人を知らない方や仕事関係者など不特定多数の一般参列者も共に儀式に参加する形を「一般葬」と言います。コロナ以前は一般葬が主流できたが、コロナ禍以降は、一般参列者は儀式に参加する形ではなく、弔問や焼香のみという弔問型家族葬が普及してきました。現在では多くがこのパターンとなっています。

家族葬の服装

家族葬に呼ばれたけど、服装はどうしやらよいの? と質問を頂くことは多いです。今回は一般的な家族葬の服装をご案内します。一般的に喪服と呼ばれる服装は、「正喪服」「準喪服」「略喪服」とされます。

正喪服

正喪服は最も格式が高い装いで、喪主は葬儀委員長など、そのお葬式で代表的な方が着ることの多い服装です。古来、羽織付きの紋付き袴姿が格式が高い服装と言われておりましたが、近年では着る方も減ってきました。洋装ではモーニングコートとなります。

準喪服

準喪服は一般的な喪服として広いシーンで着用できる服装です。通夜式や葬儀式はもちろん法要の際など、喪主や親族、そして一般会葬者まで着用します。正喪服との大きな違いとして、適度に流行を取り入れたデザインでも問題はないところです。

男性の準喪服は、ダブル、またはシングルのブラックスーツで、スリーピース着用の場合もベストは必ず黒で統一します。またワイシャツはレギュラーカラーの白無地で、ネクタイは黒の無地や織り柄でネクタイピンはつけません。靴も黒の光沢がないものを選んでください。

ちなみに準喪服とブラックスーツは違い、一般的には礼服売り場などに置いてあるスーツのことです。

女性の準喪服は、黒無地や地味目の織り柄で光沢や透けすぎていないものが良いです。黒のワンピース・スーツ・アンサンブルなどで、スーツの場合にはインナーは黒でまとめるのが基本です。

派手にならない程度の部分使いであれば、夏はレース素材や、冬にはベロアやベルベットなど、季節感のある素材でも構いません。

スカートは通常の丈よりも少し長めのふくらはぎ丈が好ましいとされています。袖丈は五分から長袖で、夏は半袖でも構いません。靴は黒で飾りの少ないパンプスでストッキングは黒が好ましいです。

家族葬はもちろん、どのような葬儀や法要であっても、準喪服を用意しておけば問題ないでしょう。

略喪服

ブラックフォーマル以外の地味な色合い・デザインのスーツやワンピースを指します。ブラックやダークトーンのビジネススーツも略喪服の一つと言えます。

お葬式の案内で「平服でお越しください」と案内があった場合は、略喪服を着ても大丈夫です。「平服」とは言っても普段着ではありませんのでご注意ください。

派手な色のワイシャツやその他装飾品には注意が必要です。以前は突然の不幸で駆け付けたために略喪服で参加するのが一般的という時代もありましたが、徐々に準喪服を着て参列するスタイルが一般化してきました。平服の案内があっても準喪服を着用すれば無難でしょう。

身内だけの家族葬の服装

身内だけの家族葬の場合は一般葬と違って喪主の意向が反映しやすいです。無宗教のお別れ会など平服で案内することもあれば、数人だけの火葬式などは着衣の指定をしない場合もあります。しかし大抵は、家族葬であっても準喪服など一般的な喪服を着用される方が多いです。「親戚の手前もあって…」と気にされる方が多いのが現状です。


近年では和装は少なくなりました。「喪主だから」と着物を着付けして正装する方は徐々に減り、今では男女問わず洋装の準喪服が多いです。

弔問型家族葬でお焼香だけ参列する場合の服装

先にも述べたように、もともとお通夜は略喪服や仕事着でうかがうことがマナーとされていた時もありました。「通夜に喪服を着ていくことは不幸事を準備して待っていたとみなされる」として喪服ではない格好で参列や手伝いをすることがありました。

徐々に仕事関係の弔問などが増えて、ある程度の正装をするべきという風潮で、近年では通夜も喪服での参列が一般化しました。準喪服でお焼香にうかがえば、無難ですが、実際に葬家に聞いてみると、「参列者の服装は気にしない」という意見がほとんどで、むしろ仕事着やビジネススーツでの参列者に対しても「仕事の合間に来てくれるだけでありがたい」という意見も多く、実際には服装をあまり気にしない方が多いようです。服装を気にするよりも弔問にうかがう姿勢の方が大切ということでしょうか。