葬儀における宗旨宗派 終活の豆知識(55)

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お葬式と聞くと、多くの人はお寺より僧侶が来て読経する仏教式の儀式をイメージする人が多いのではないでしょうか? 仏教式以外の他の宗旨宗派でのお葬式はどんな形態があるのでしょうか。葬儀の相談でも宗旨宗派をどのようにしたらよいかという質問も少なくないと言います。お葬式における仏教式以外の宗旨宗派について、かぐやの里メモリーホール代表の中村さんに聞いてみました。

終活の豆知識

全国的な割合

地域によって異なりますが、平均すると、70%から90%が仏教式でのお葬式(以下、仏式)となります。年々宗教離れが進んでいると言われますが、全国的には仏式がほとんどというのが現状です。

仏式以外の宗旨宗派

お葬式において宗旨宗派を決める際に、それぞれのご家族の状況や希望を伺います。その多くは仏式ですが、それ以外には、神式(神社神道のお葬式)・キリスト教式(プロテスタントやカトリックなど)・友人葬(創価学会)・新興宗教(既成宗教に対して新しく興った各宗教)・無宗教葬などがあります。

かぐやの里メモリーホールでは、仏式次いで多いのは無宗教葬です。静岡県東部で言えば仏式が大多数ですが、御殿場地域では神式のお葬式が半分くたいとかなり割合が高くなっています。

主な宗派のお葬式

仏式以外の主な宗派のお葬式について解説します。

神式(神道式)

日本古来の伝統的なお葬式で、神道に基づき行われます。神葬祭(しんそうさい)とも呼ばれます。式次第は仏教と大きく変わりません。日本人は古来より神の世界から生まれ、一生を終えると神の世界へ帰ると考えられており、神道でのお葬式は故人が一家の守護神(氏神様)となるための儀式として、そのため、仏教で用いられる「成仏」「冥福」「供養」という言葉は使いません。

仏式で行う焼香はせず、玉串奉奠(たまぐしほうてん)を行います。玉串とは、榊(さかき)の小枝に、紙垂(しで)を付けたものです。二礼二拍手一礼を、音をたてずに行います。

神式のお葬式とはいえ、神社で行うことはできません。神道では、死は穢れ(けがれ)とされているため、神様の聖域である神社にて行えないので、葬儀会館や自宅で行うのが一般的です。

なお神式のお葬式に参列する際は、お香典ではなく「御玉串料」となります。

神式でのお葬式をお考えの方は、お付き合いのある神社にご相談してみてください。かぐやの里メモリーホールで神社を紹介することも可能です。

キリスト教式

キリスト教は、主にカトリック系とプロテスタント系があります。それぞれの教義の違いから内容や流れが異なります。共通の特徴としては、死は不幸ではなく永遠の命の始まりという考え方から、死をけがれと考えず神に召されることを祝福します。

故人をしのばないため、お悔みも言いません。仏式で行う焼香はせず、献花を行います。

カトリック系の特徴として、伝統的な儀式による厳格な葬儀を行います。聖職者を「神父(司祭)」と呼び、礼拝で聖歌を歌います。

カトリック系は、基本的に教会で洗礼を受けた教徒のみ葬儀を行うことができるとされています。

プロテスタント系の特徴として、カトリックと比較して自由で柔軟な葬儀を行います。聖職者を「牧師」と呼び、礼拝で賛美歌を歌います。

なおキリスト教式のお葬式に参列する際は、お香典ではなく「御花料」となります。

かぐやの里メモリーホールでは、洋風なホール富士や各教会でキリスト教式のお葬式を執り行っています。在日外国人の方はキリスト教が多いので、さまざまなキリスト教の儀式形式で行います。

友人葬

友人葬は、故人と親しい人たちで執り行う葬儀です。一般的には、創価学会の営むお葬式が友人葬と呼ばれています。僧侶を呼ばず、学会の担当者が中心となり、段取りを整えます。

創価学会の儀典部(冠婚葬祭の儀式を行う責任者)が中心となり、儀典長と呼ばれる会員が読経の導師を務めます。会葬者達でお題目を唱え、故人を見送ります。

無宗教葬

無宗教葬は、宗教的要素を含まないお葬式で、自由なスタイルで、故人の遺志や家族の希望に合わせた式ができます。故人や家族が特定の信仰を持たない場合や、寺院との付き合いがない場合、慣習的な葬儀形式が希望に合わない場合などに、よく選ばれています。慣習に沿わず、故人の遺志や家族の想いを元に式の内容を決めます。

なお無宗教のお葬式に参列する際は、決まりはありませんので一般的な「お香典」で構いません。

無宗教葬の特徴として、お坊さんなどの司式者がいないため、お葬式の内容を全てアレンジする必要があり、葬儀担当者のプランニングが重要となります。

かぐやの里メモリーホールでは、独自の無宗教プランがあり、お別れの会・音楽葬・生花葬・故人を囲んでの会食会など、さまざまなプランニングができます。

昨年度も、300人規模のお別れ会を執り行うなど、これまでに、この地域になかった無宗教葬を提案しております。実例も多数あるので、プランニングの参考となります。

宗旨宗派を選ぶ基準

直系家庭で菩提寺が有る方にとって宗旨宗派を選ぶことはありませんが、菩提寺が無かったり、長男ではなく直系ではない家庭がお葬式を執り行う際には、宗旨宗派を選ぶことになります。

選ぶ基準としては、故人や家族の希望や、どこに納骨するかなどで選んでいきます。とは言え、なかなか選ぶのが難しいこともあるので、事前に葬儀社に確認しておくと良いでしょう。