変わりゆく業界の構図 終活の豆知識59

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日ごろは接点を持つことが少ないものの、いざという時には誰しもがお世話になる葬儀業界。実は昔に比べて業界の公図が大きく変わりつつあるといいます。本年度、葬儀業界の2大展示会の両方で講演を行った、かぐやの里メモリーホール代表の中村雄一郎さんに葬儀業界の変遷について聞いてみました。

過去の構図

葬儀屋さんの始まりの多くは、棺桶屋や造花店と言われています。
戦前は地域の人とお寺でお葬式を執り行うことが一般的で、今のように業者が段取りを整えることはなく、必要な品だけ持っていくというような販売店が主でした。
戦後になtt、冠婚葬祭互助会という制度が出来て、お葬式や結婚式などお金がかかる行事をみんなでお金を出し合って行おうという仕組みが出来ました。
その頃から徐々に手間のかかるお葬式については、業者さんに段取りや手配をお任せしようということになり、葬儀社が今のような業務内容になってきました。

葬儀社の種類

葬儀社と一言で言ってもその種類はさまざまです。主なところでは、専門葬儀社、冠婚葬祭互助会、葬儀仲介会社、協同組合などがあります。


①専門葬儀社とは、お葬式のサービスのみを提供するお葬式事業をメーンに営んでいる会社です。スタッフや会社のシステムなどお葬式に特化していることから、専門店ならではのサービスが受けられます。かぐやの里メモリーホールも専門葬儀社に位置づけられます。

②冠婚葬祭互助会とは、結婚式とお葬式、またはそれらに関わる周辺業務を執り行う会社です。互助会という積立金を事前に徴収して、そのお金で葬儀会館や結婚式場の建設や運営をしております。豪華な施設や立派な祭壇など先行投資でまかなっているので、費用は専門葬儀社に比べて高額な傾向にありますが、設備は充実していることが多いです。一方で積立金のみで全てが執り行えるケースは少ないので費用面を気にされる方は事前確認をお勧めします。

③葬儀仲介会社は、「低額で小さな葬儀」ができますと、インターネットやテレビで目にすることも増えたと思います。葬儀仲介会社は全国規模で展開しており、依頼のあった地域の葬儀社を紹介するというシステムです。自社でサービスを提供するわけでないので、金額は低額でも内容やサービスはさまざまとなっており、紹介された会社次第ということになります。

④協同組合とは、農業や漁業などの組合を対象に葬儀サービスを提供しております。焼津市などは漁業組合がお葬式サービスを行うなど、地域によってさまざまです。組合組織は全国になりますが、実際は地域によって内容は大きな差があります。葬祭サービスに力を入れている組合もあれば、窓口のみで、実際にお葬式は地域葬儀社に任せるというケースもあります。その背景には組合という大きい組織の中で、葬儀サービスは必ずしも中心的な事業ではなかったということがあり、人事異動などの関係で、お葬式に精通している人材が育ちにくい環境があったということもあります。近年では組合ごとで変化もみられるようです。

葬儀業界に参入する業界

葬儀業界に新規参入する会社は一定数あります。かぐやの里メモリーホールもこの富士市において専門葬儀社としては約1世紀ぶりの新規起業でした。この連載を通じて、かぐやの里メモリーホールという名前も広く知れ渡り、おかげさまで創業7年を迎えることができ、年間で150件を超えるお葬式をお手伝いできるようになりました。日ごろからご愛顧いただき感謝申し上げます。

話は逸れましたが、新規参入では無く、他地区に本拠地を置く葬儀社が富士市に出店してくることはあります。また既存の葬儀会館の名前が変わった場所などはブランド名を変えて運営しているところもあります。富士市以外を見てみると、鉄道会社、不動産会社、大手スーパー、仏壇メーカーなどが葬儀サービスの提供を行い始めました。人口の多いエリアは新規参入も多く、県内でも静岡市や浜松市などは大小さまざまな企業が葬儀業界に参入しております。

周辺業務に新規参入の動き

お葬式サービス周辺の業務に参入する会社もあります。かつては、周辺の業務というと生花店や飲食店など卸売りの業者が一般的で、新しいサービスを創造して提供する会社は、まれでした。
近年では、葬儀後の相続手続きや名義変更の業務を低額で行うサービスを提供する会社、空き家はもちろん事故物件になってしまった不動産を全国規模で購入する会社、お墓事業を行う不動産会社や鉄道会社など、新たな動きが目立っております。死亡人口が増加する中で、お困りごとにアプローチしていこうという会社が増えたことにより、新規参入が増え、選択肢が増えたことは、消費者にとっては良いことだと思います。

地元葬儀社として

葬儀業界に限らず、既存業界に新規参入が増えることは業界レベル向上に寄与します。一方で薄利多売化が進んだり、地元業者の廃業が進んだりと、業界再編が進行することになります。

私がかつて勤務していた東京都及び首都圏ではその変化が激しく、まさに群雄割拠な状態でした。その中での気付きとして、弊社がブレずに提供すべきは「お葬式の内容の差別化」でした。
「お葬式の内容ってどこも同じでしょう?」と思っている消費者が多い中で、弊社が提供する内容で驚きや感動をしてくださる方が大勢いらっしゃって、それが拡がり、おかげさまで今があると思っています。

かぐやの里メモリーホールは、富士市の企業として、全国規模の会社に負けないスピードで新しい価値を創造し続けていきます。