夏場のお葬式 終活の豆知識67

近年は猛暑が続き今年も7月初旬の時点で既に真夏の暑さ。人口動態統計から見ると夏場は冬場ほどではないが、死亡者数が増加する時期となる。

高温多湿の時期にお葬式を執り行うことは、冬場とは違ったリスクがある。この時期に突然のことでも慌てないよう、夏場のお葬式についてかぐやの里メモリーホール代表の中村雄一郎さんに聞いた。

死亡者数の増加

夏場になると死亡者数は増加します。暑さも関係しますが、春期-雨期の比較的気温が過ごしやすい時期は死亡者人口が減ることもあり、その反動もあってか夏場は死亡者数が増えます。夏場のお葬式についての大きなリスクは、「ご遺体安置」と「お盆日程」です。

冬場ほど火葬場が混み合うわけではありませんが、やはり日程調整など難しい時期ではあります。まずは各リスクを知ってもらい、不安を解消してもらうことが大切だと考えます。

夏場の自宅安置

富士市では季節を問わず、翌日に火葬を行うという日程は難しいです。火葬場予約は先着順のため、翌日に空いていることはごく稀です。よってご逝去されてから数日間はご遺体安置が必要となります。安置先は「自宅」か「自宅以外」となっており、自宅以外とは葬儀場霊安室などを指します。

暑い時期の自宅安置はあまりお勧めしません。ドライアイスやエアコンで対応できますが、万全とは言えないので、リスクが高まります。しかしながら、一度は自宅に連れて帰りたいというお気持ちは尊重するべきと考えるので、リスク管理をしながらの対応が必要です。

①自宅安置する部屋

夏場は安置する部屋がとても重要です。近年は異常な気温になる日もあるので、必要最低限の条件として、部屋にエアコンがあることは必須になります。室温を出来るだけ下げることが重要なので扇風機などでは対応しきれません。また、雨戸が閉まる部屋であればなお良いです。日が入ることで室温が下げきれないこともあり、雨戸を閉めたままエアコンをつけることで、室温を下げることができます。

②自宅安置する期間

本来はお通夜の当日までずっと安置しておきたいところですが、それまで数日間空く様であれば、早めに葬儀場霊安室などに移動した方が良いでしょう。

ご逝去後の当日か翌日だけ自宅で、先に葬儀場霊安室に移動するパターンなどもあります。いずれにしても、リスクが高い自宅での安置期間をなるべく短くして、早めに冷蔵霊安室などにお連れすることをお薦めします。

③夏場の安置対策

なるべく早めに万全な体制に整えることが大切です。万全とはお身体全体を冷やすことであり、冷蔵霊安室に安置したり、早めに納棺してドライアイスを多めに処置すると良いでしょう。

それ以外はエンバーミングの処置で安全に安置できます。エンバーミングはドライアイス処置も不要で、顔色なども復元できる高度な処理です。

かぐやの里メモリーホールでは、自社でのお葬式以外に他社様でお葬式する場合でもエンバーミングのご案内は可能です。必要な際はお問合せください。

お盆の日程

お盆の時期はお寺様が忙しいことから、様々な調整が発生します。また、お盆は仏教の考え方ですが、社会的にもお盆休みなどがあることから、こちらも調整が発生します。

①菩提寺様との調整

菩提寺のある方はこの時期はお盆と重なるために、菩提寺様との日程調整がとても難しくなります。棚経や法要など仏事日程が重なるため、スケジュールの調整が必要となります。

直近でご心配な方がいるご家族は、事前の段階でもお知らせしておくことで、双方が調整しやすくなります。

②盆休みでの調整

一般的にお盆休みを連休で取り、外出予定を立てるご家庭も多いです。そのようなことから、お盆期間でお葬式日程を組むと、親族や一般の方への会葬案内が難しくなります。家族葬で実施してしまうという考えもありますが、お招きを考える場合は、お盆期間は要調整です。

その他の注意点

今回紹介した2点以外にも、細かい注意点が多々あります。

①提供食事のリスク

夏場はお食事をお渡しする際に要注意です。通夜振舞いの食事や祓いの食事を持ち帰りで渡す際など、夏場は特にお気をつけください。対策としては、持ち帰りをやめてその場での食事提供に切り替えるなどあります。火葬後戻りでの祓い食事にすると皆さん持って帰ることが多くなるので、火葬中食事として祓いの食事を提供するなど、食中毒などのリスクは減らした方が良いでしょう。

③服装

真夏のお葬式では、黒や濃い色の喪服が一般的ですが、暑さを考慮して薄手の素材や涼しい素材の服装を選ぶと良いでしょう。女性の場合、袖の長さや首元のデザインも注意が必要です。喪主ということで正装の着物を着る方など、無理はせずに体調には注意してください。

夏場は冬場と違った課題があります。お葬式は時期を選ぶことはできないので、この時期にお葬式が発生しそうな場合は、事前に不安点や不明点のリスクをあらかじめ確認しておくだけでも違ってきます。夏場のお葬式で困ったら、ぜひ一度かぐやの里メモリーホールにお問合せください。