需要が高まるエンバーミングとは? 終活の豆知識75
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需要が高まるエンバーミングとは?
エンバーミングという言葉を聞いたことがあるでしょうか?まだ馴染みのない言葉かもしれませんが、欧米では広く普及している「遺体の衛生保全処置」のことを指します。今回は、エンバーミングの目的や方法、メリット、そして現状について、かぐやの里メモリーホールの中村雄一郎さんに聞いた。
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エンバーミングとは?
エンバーミング(Embalming)とは、故人の遺体を衛生的に保全し、できるだけ生前の姿に近い状態を維持するための処置のことを言います。これは単なる防腐処理ではなく、細菌やウイルスの除去、体内の血液を特殊な薬剤に置き換えることで、衛生的で穏やかな姿を保つことを目的としています。
日本では、遺体は一般的に火葬されますが、火葬までの期間、遺体の変化を抑えるためにドライアイスを使用するのが一般的です。しかし、エンバーミングを施すことで、ドライアイスの使用が不要になり、故人の姿をより自然な形で残すことができます。
エンバーミングの目的とメリット
エンバーミングは、主に以下の目的で行われます。
① 遺体の衛生管理
遺体は時間が経つと自然に変化していきます。どれだけドライアイスを使用しても細菌が増殖し、不快な臭いの発生やお身体が変色する可能性があります。エンバーミングでは、防腐処理と消毒を行い、遺体の衛生状態を保つことができます。
② 故人とのお別れの時間を確保
この冬は富士市の火葬場でも一週間以上待つことが常態化しました。これから年々火葬場待ちが長引くでしょう。長引いた場合でもエンバーミングを施せば、故人の姿を穏やかに保ちながら、家族がゆっくりとお別れをする時間を確保できます。時間経過で遺体状態が心配という不安から解消されます。
③ 自然な表情の維持
亡くなった後の遺体は、時間の経過とともに硬直や変色が進みます。しかし、エンバーミングを行うことで、生前の穏やかな表情に近づけることができ、見送る側の心の負担を軽減できます。個人的な感想としては、納棺師のラストメイクや湯かん以上に自然な肌色になり、表情が穏やかになります。
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エンバーミングの具体的な手順
エンバーミングは、専門の技術を持ったエンバーマー(遺体衛生保全士)によって行われます。その一般的な流れは次のようになっています。
① 遺体の消毒
最初に、遺体の表面を消毒し、感染症のリスクを防ぎます。
② 血液の置換
遺体の血管から血液を抜き取り、防腐・消毒作用のある特殊な薬剤(エンバーミングフルード)を体内に循環させます。これにより、遺体の変化を抑えることができます。
③ 外見のケア
遺体の表情を整えたり、皮膚の色を調整したりすることで、生前に近い状態に仕上げます。化粧や衣装の着付けも行い、できるだけ自然な姿に見えるようにします。
④ 最終チェックと納棺
エンバーミングが完了した後、最終チェックを行い、遺族の希望に合わせた安置となります。以降はドライアイスも必要ありません。
- 日本でのエンバーミングの現状
日本では、まだエンバーミングの普及率は低いですが、近年少しずつ注目されるようになっています。その背景には、家族とのお別れの時間を大切にしたいというニーズの高まりがあります。先にも述べたように全国的に火葬までの日数が延びている現状を考えると、安心して安置ができるエンバーミングの需要はどんどん高まっていくでしょう。例年熱くなる夏場、自宅安置希望の場合などはエンバーミングが必要になってくるでしょう。
- エンバーミングにかかる費用
エンバーミングの費用は、処置内容や遺体の状態によって異なりますが、一般的には20万円〜40万円程度が相場とされています。費用はかかるものの、ドライアイスを多く使用して更に湯かんなど合わせると、同じくらいの金額になります。故人との最後の時間を穏やかに過ごせることを考えると、価値のある選択肢と言えるでしょう。
- まとめ 〜エンバーミングは「安心してお別れできる」選択肢〜
エンバーミングは、遺体の衛生状態を保ち、自然な表情で最後のお別れができるようにする処置です。特に、お別れの時間をゆっくり取りたい方や、生前の姿に少しでも近づけてあげたいと思う方には、大きなメリットがあります。
私自身も父親にエンバーミングを処置してあげました。触れても冷たくないですし、血色も良く、本当に穏やかに寝ているようで、遺体の近く過ごすのに少しも不安を感じませんでした。エンバーミングしてあげて良かったと家族一同感じております。
エンバーミングについてもっと知りたい方は、かぐやの里メモリーホールにお問い合わせください。かぐやの里では日本で最も技術力の高いエンバーミング社と契約しているので、とても安心安全にご処置できます。エンバーミングだけの相談も承りますので、ご相談ください。