霊園の新たなかたち(前編) 称念寺 副住職に聞く 77

特別対談

本日はお彼岸の最終日。お彼岸でお墓参りをされた方々も多いでしょう。近年の少子高齢化による人口減少から墓じまいが増えているという。また新規に納骨先を探す方も同様で、お墓の維持管理に不安を感じ、新たな供養の形を考える方が増えている。今年1月に画期的な霊園を作った称念寺の副住職である藤田融滋さんにお話を聞いた。

中村 本日はよろしくお願いします。早速ですが富士市中央町の称念寺内にオープンした富士市まちなか霊園ザ・ガーデン富士について教えてください。

藤田 最新型納骨堂・仏壇型納骨堂・樹木葬・永代供養墓・一般墓の5種類のお墓を用意した霊園です。昨年に納骨堂許認可を経て今年1月にオープンすることができました。

中村 新たな形の霊園を作った背景を教えてください。

藤田 称念寺の檀家も様々な理由で墓じまいや離檀を検討する方が年々増えてきました。理由は様々ですが、最も多いのは将来の後継者問題でした。跡継ぎがいない、また跡継ぎはいるけどお墓の承継はできないなど、昔とは生活環境が異なることからお墓の管理を不安視する声が増えてきました。また、新たに納骨先を探す方も新規お墓の建立は避けたいという意見が多く、これまでとは違った供養の形を必要だと常々感じていました。

中村 お墓など供養についてはお葬式の段階から相談が多いです。確かに一般墓(墓石)については後継者が必要であり、後継者がいないと維持管理ができません。そのような理由から、全国的に樹木葬や納骨堂が増えている現状があります。

藤田 ご先祖様を大切にしたいというお気持ちは決して減っているとは思いません。しかしながら、お墓の維持管理や檀家継続など、将来の不安の声は聞いていました。だからこそ、これからの時代に合った供養の形を提供したいと考えておりました。

中村 私自身も今後も実家のお墓をどのようにするか考えなくてはならない年齢になってきており、お寺からそのように考えてくださることはとても有難いです。檀家はもちろんですが、檀家以外の方にもサポートする姿勢は先代から学んだと伺いました。

藤田 私の祖父にあたる先々代も昭和40年代に納骨堂を作り、その納骨堂は現在も運営されています。当時は一般墓の建立が当たり前だった時代に、100基を超える納骨堂を作ることは異例であり、これが富士市で最初の納骨堂でした。当時の様々なご事情のある方々に向けて、当時新しい選択肢を作り、その方々今もなおご利用くださっていることは、結果として意義ある取り組みであり、時代を先取りするものでした。その精神を私自身も継いでいきたいと考えております。

中村 半世紀前から時代の変化を考えていた先々代のご住職の先見の明は素晴らしいですね。その精神を受け継ぎ、今の時代に合った最新型納骨堂や樹木葬を建立することになったのですね。

藤田 先ほども述べたように、これからの時代において、後継者がいなくてもしっかりと供養ができることが大事だと考えました。跡継ぎがいてもいなくても、維持管理の負担が無く、費用面も払い済みで将来的な負担が無く、いつでもお参りにできる仕組みを考えました。

中村 管理と費用の負担が無くなることはとても助かりますね。今回の霊園については、檀家登録も不要とのことですし、どの宗派の方も利用可能と伺いました。檀家制度も変革期に来ていると感じています。檀家制度自体は良い仕組みだと思っております。ご先祖様に向けて読経や参拝をする家庭が減っている中で、ご家族に代わって毎日読経して供養してくれる菩提寺は有難い存在です。毎日欠かさない先祖供養と逝去時のお葬式の執り行いなど、菩提寺と檀家は持ちつ持たれつの関係が、時代と共に距離が離れてしまっていることも事実です。

藤田 困った際に頼られる存在でありたいと考えております。普段から接点を持つことが理想ですが、なかなか難しいこともあります。そのようなことから、富士市まちなか霊園ザ・ガーデン富士では、檀家登録は不要としました。その上で、お葬式や法要など依頼する先が無くお困りの場合、直ぐに対応できるようにしております。また、他の宗派のまま利用したいという方もいらっしゃるので、その場合も既存の宗派のまま利用していただけます。お墓の形は変えたいけど、これまでのお寺との関係はそのままにしたいという場合もご利用可能です。これまで大切にしてきたご縁はこれからも大事にしてもらいたいと思っています。

中村 かなり柔軟なお考えですね。一般の方々からすると今のニーズに合った仕組みでとても有難いです。それらも稱念寺の精神でしょうか。

藤田 富士市まちなか霊園ザ・ガーデン富士のある稱念寺の隣は、富士市立第一保育園です。この保育園の土地は元々が稱念寺の参道でした。戦後にこれからの地域発展に寄与したいと富士市に譲渡して保育園が建てられました。それでお寺の敷地は小さくなってしまいましたが、子供たちが毎日楽しく過ごしている声を聞いていると、とても有意義なことであったと常々感じます。地域のためにそしてみんなのためにというのは先祖譲りです。

中村 富士市の一等地を譲渡したことは素晴らしいですね。この霊園もそうですが、富士市中央町という市役所から車で1分足らずの富士市の中心街にあることは、利用者や参拝者にとって便利ですね。

藤田 お墓や霊園というと郊外というイメージがあると思いますが、これからの高齢化社会を考えるとお参りのしやすさは重要だと考えました。自家用車が無くてもバスやタクシーでも行けることや、中心市街地でわかりやすいことなど、お墓の利便性はとても大事になります。

中村 富士市まちなか霊園というだけあってとても便利な場所ですね。目の前の小潤井川沿いの桜はそろそろ見頃ですね。小潤井川の桜並木があり子供たちの元気な声も聞こえる霊園は他には無いですね。更には費用面も負担が少ないと聞きました。

藤田 墓石を建てる一般墓は数百万円かかります。これからの時代は費用面もとても重要なり、費用面から供養先を選ぶ方もいらっしゃいます。富士市まちなか霊園ザ・ガーデン富士では納骨堂と樹木葬28万円、永代供養墓は15万円で利用可能です。供養期間もご希望に合わせて短めの7年間から長めの50年間とぞれぞれの家族のご希望で選ぶことができます。将来継続して出費が無いように、費用も払い込みで今後の管理費なしです。

中村 費用が明確であることもわかりやすいですね。やはり将来にかけて手間や費用がかからないことは安心に繋がりますね。

藤田 そうですね。将来に亘って誰かの手間になることは避けたいという声を聞いています。本施設は永代供養の料金も入っており将来は責任もって永代供養に移します。将来に亘って丁寧に供養させていただきます。

中村 至れり尽くせりですね。このようにお寺が管理してくれるのはとても助かります。これが新しいお寺との関わり方かもしれませんね。お寺は寺子屋が存在していたように、元は地域の拠り所であったことを考えると、形を変えてみんなが気軽に集まれる場所に進化できそうですね。

藤田 ザ・ガーデン富士のある稱念寺には広い客殿があります。ここはお葬式や法要などに限らず、ヨガ教室やバランスボールなど多くの習い事の会場として開放しています。ザ・ガーデン富士がオープンして更に多くの方々に来ていただける場所になれたらと思います。

中村 今後の可能性は更に広がりますね。最後に副住職の想いをお聞かせください。

藤田 一人一人のご縁を大切にしていきます。これまではなかなか変えられなかった仕組みを少しずつわかりやすく変えることで、先祖供養や家族のあり方などより心が豊かになるようになればと思っています。新しくオープンしたザ・ガーデン富士も2カ月足らずで既に数十名の申込が有り、お墓では異例のスピードで成約となっています。安くて近くて便利な場所として、多くの方が集う場所にしていきたいです。

中村 より詳しくは電話でお問合せや内覧会にお越しください。今回は藤田副住職ありがとうございました。

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