墓じまいってどうするの?~富士市での手続きと注意点~     終活の豆知識 81

「そろそろ、お墓のことも考えておかないと…」
「子どもが遠くに住んでいて、お墓の管理が難しくなりそう…」
そんなお声を、最近とても多く耳にするようになりました。実際、富士市内でも“墓じまい”という選択をされる方が年々増えています。ですが、いざ進めようと思っても「どこから手をつければいいのか分からない」と戸惑う方も少なくありません。今回は、そんな墓じまいについて、富士市での具体的な流れや費用、注意点などをかぐやの里メモリーホールの中村雄一郎さんに聞いた。

◆ 墓じまいとは?

「墓じまい」とは、現在のお墓を撤去し、ご遺骨を別の場所に移すことを指します。お墓が遠方にあったり、継承者がいなかったりする場合に「今のうちにきちんと整理しておこう」と考える方が増えています。近年は、「子どもにお墓のことで負担をかけたくない」「自分の代でお墓をきちんとたたんでおきたい」と、自分自身で動き始めるご高齢の方も多くなってきました。決して“お墓を粗末にする”ということではなく、“次の世代に優しいかたちでつなぐ”前向きな終活の一環なのです。

◆ 富士市での墓じまいの流れ

① 家族・親族との相談
まずは、親族間でしっかりと話し合いましょう。墓じまいは感情の問題も含むため、「誰にも相談せずに進めた結果、あとで親族ともめた」というケースも実際にあります。ご先祖さまを想う気持ちは皆同じ。だからこそ、思いやりを持って話し合うことが何より大切です。

② 移転先(納骨先)を決める
ご遺骨の移動先としては、永代供養墓や樹木葬や納骨堂が選ばれています。富士市まちなか霊園「ザ・ガーデン富士」など新しい形の納骨先も増えております。室内型の納骨堂であれば天候に左右されず、年中快適にお参りできることから、近年とても人気です。
ご家族のライフスタイルや価値観に合った場所を選びましょう。

③ 現在のお墓の管理者に相談
お寺や霊園など、現在のお墓の管理者に墓じまいの意向を伝えます。この際、「閉眼供養(魂抜き)」の時期や形式、費用などについても確認しましょう。宗派や寺院によって対応が異なるため、事前に丁寧に相談することが大切です。

④ 富士市役所での「改葬許可申請」
お墓を移すには、「改葬許可証(かいそうきょかしょう)」が必要です。これは、現在のお墓がある市町村役場に申請し、発行してもらいます。富士市の場合は、市役所の環境部環境保全課が窓口になります。新たな納骨先の証明書なども必要になりますので、手続きは一つずつ確認しながら進めましょう。

⑤ お墓の撤去・ご遺骨の移動
許可が下りたら、お墓の撤去作業を行い、ご遺骨を新たな納骨先に移動します。必要に応じて、法要(納骨式)を行うこともできます。お墓の解体や撤去は石材店や解体業社に依頼しましょう。

◆ 墓じまいにかかる費用と注意点

費用は状況により異なりますが、一般的には以下のような費用が発生します。
– 墓石の撤去費用:10万円~50万円 ※一般的な幅です
– 改葬先(納骨堂や永代供養墓)の費用:10万円~
– 閉眼供養のお布施
– 離檀料(お寺とのお付き合いを終了する際に必要な費用)※寺院により異なる
かかる費用はできるだけ事前に見積もりをとって確認することをおすすめします。

◆ お墓のことも相談可能

墓じまいのご相談から改葬先のご案内、各種手続きのサポートまで、地域の石材店や寺院と連携しながら丁寧にお手伝いさせていただいております。「まずは話を聞いてみたい」「費用の目安だけでも知りたい」――そんな方もどうぞお気軽にご相談ください。

◎ 編集後記

お墓とは、ご先祖さまを大切に想い、命をつないできた証を刻む場所です。けれども、時代が変わり、家族のあり方や暮らし方が多様になる中で、「どう守り継いでいくか」を考え直す必要も出てきました。「墓じまい」は、決して寂しいことではなく、次の世代に想いを引き継ぐための大切な選択です。終活の一歩として、ご家族でゆっくり向き合ってみてはいかがでしょうか?

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