アフターコロナのお葬式は? 終活の豆知識(54)
目次
新型コロナウィルス感染症が5類に変更になり、コロナ禍の社会様式が一変しました。これまで自粛していたイベントや行事なども再開されて、コロナ前の形に徐々に戻りつつあります。今後葬儀の形はどのようになるのか? かぐやの里メモリーホール代表の中村さんに聞いてみました。
コロナで変わったお葬式
コロナ禍では、感染防止の観点から一同に会することを避ける傾向となったので、『弔問型』のお葬式が増えました。通夜式や告別式など儀式は、家族、親族、親しい人の家族葬で執り行い、儀式の前後で弔問時間を設けて一般会葬を受ける形式です。
弔問型は、関東や山梨県南部ではコロナ以前からあった形式で、それが全国的にも広がりを見せました。儀式は家族葬で儀式参列は10名から30名がメインとなり、これまで一般葬が当たり前だった地域においても、一気に家族葬が主流となりました。この富士市でも例外ではありません。
家族葬が急増した中での反応
コロナ禍で初めて家族葬を執り行った遺族は大勢いらっしゃいます。これまでは当然のように一般葬を選んでいた方も、コロナ禍で家族葬または弔問付き家族葬になりました。
弊社アンケートで初めて家族葬を行った遺族に感想をお聞きすると、「一般葬に比べて手間・負担・費用が抑えられた」「要らぬ気を使わずに済んだ」「想像以上に故人と向き合えた」などの声がありました。
また会葬者からは、「弔問だけの方がお伺いしやすい」「参列時間が短縮されるも遺族に挨拶はできるので良い」などの声がありました。
葬儀費用の観点で言えば、これまでは「一般葬は収入が多く支出も多い、家族葬は収入は少なく支出も少ない」でしたが、コロナ以降の弔問付き家族葬によって「収入は多く支出は少ない」という費用面のメリットは顕在化しました。
今後のお葬式はどうなるの?
一堂に集まることに制限が無くなっても、お葬式に関してはこのままの形がスタンダードになるでしょう。大規模に執り行うお葬式は一定数戻ってくるでしょうが、弔問時間を設けた弔問付き家族葬か、家族葬が主流となります。理由としては遺族と会葬者にとって従来型葬儀より利点が多いことから、この形式が良いと思う方が多いことが挙げられます。
また、家族葬がより市民権を得たので、どちらにしようか…と迷う方も減って「家族葬で良い」と選択しやすくなってきたこともあります。
業界も家族葬へシフト
去年と今年で富士市内でも家族葬会館の出店がラッシュとなっています。業界としても、今後は家族葬が主流という見方から、会館をシフトしている表れです。
以前は、一般葬が主流であったために、ある程度の広さの建物と駐車場を兼ね備えた葬儀会館がメインでした。今後はそれが逆転して、家族葬もしくは弔問付き家族葬が主流になることから、会館をサイズダウンして展開しています。
大きい式場で小さいお葬式を執り行うこともできますが、家族葬という性質上、儀式に参列する予定人数に合わせた会場を選びたいという需要が多いことから、家族葬会館が求められています。業界もどんどん家族葬にシフトしているのです。
お葬式の価値の変化
コロナ禍でお葬式に対する考え方が変わりました。「故人を知っている人だけで送りたい」「家族の希望の形で送りたい」など体裁を気にせずお葬式を執り行うことが一般的になりました。そんな中で、自宅やお寺でのお葬式も増えてきました。
またこれまでに比べてお葬式準備の手間が短縮されたことから、故人の好きだったものを集めたり、写真を用意したり、故人に向き合う時間も増えているように思います。大切な家族との別れにこれまで以上に向き合うことができるようになったのは良い変化だと思います。
お葬式の変化周期は30年と言われています。ちょうどパラダイムシフトした今から、お葬式の価値も変化していくでしょう。