香典金額の相場や香典袋の書き方など【後半】

目次

お葬式のタイプで異なる香典のスタイル

お葬式と一口に言っても、家族葬、直葬、一日葬などさまざまなタイプがあります。お葬式のタイプによって香典のスタイルも変化するケースがあることに注意が必要です。

初めて営むお葬式のタイプのときでも、初めて参列するお葬式のタイプのときでも、戸惑うことのないよう、どのような香典のスタイルがあるのか知っておきましょう。

家族葬は渡し方に注意

家族葬は、家族や親族を中心に故人と近しい関係者のみで執り行う葬儀形式です。香典を持参する場合の金額は、一般的な葬儀と変わりません。

注意点としては2つあります。ひとつは、家族葬においては遺族の意向により「香典辞退」とされているケースが多いことです。もうひとつは、ごく少人数の家族葬の場合、受付が設置されていない場合が珍しくないという点でしょう。受付が設置されていない場合は、喪主に直接香典を渡します。

一日葬も通夜式と同様の香典を…

一日葬とは、通夜式をせずに葬儀告別式のみを執り行う葬儀形式です。「一日葬儀」や「ワンデーセレモニー」と言われることもあります。

一日葬でも香典は持参することがマナーです。香典として包む金額は一般的な葬儀や通夜式参列と同様と考えてよいでしょう。

一日葬は、実質的に家族葬規模で行われるケースが多く、受付が設置されていないこともあります。受付が無い場合には、喪主に直接香典を手渡ししましょう。

火葬式(直葬)では香典辞退かどうかもチェック

火葬式または直葬は、通夜や葬儀告別式を実施せず、火葬のみを実施する葬儀形式です。火葬の前に故人との対面をし、簡単なお別れ式の時間を設けるケースもあります。

基本的に施主側の立場であれば香典は持参しないと考えてよいでしょう。一方、そのほかの親族が直葬に立ち会う場合には、特に香典辞退の案内がされていないかぎり、香典を持参することが適切です。なお、持参する場合の香典額は一般的なお葬式と同様です。受付は設置されていないことが多いので、喪主に直接香典を渡しましょう。

創価学会は原則香典不要という考え方

創価学会のお葬式は「友人葬」と呼ばれます。基本的なお葬式の流れは他の宗派と同様ですが、僧侶は呼ばず友人の代表者(地域支部の長が務めることが多い)が導師役を務めることが特徴です。

香典については「儀礼的な意味での香典は持参しなくてよい」という方針が創価学会にあります。ただし、地域性が影響するなどして香典を持参することが一般的となっている場合もありますので、参列前に確認しておくとよいでしょう。

農協葬儀の香典は一般葬同様

農協では、農家を中心とした組合員、準組合員を主な対象者として施行サービスを提供しています。農協が窓口になり、実際の葬儀施行は関連会社や提携葬儀社に委託されるケースが多数です。組合員でなくても利用は可能ですが、組合員よりも料金が高くなることがあります。

香典については一般のお葬式と同様に持参することが基本的マナーです。香典の金額相場も農協の葬儀だからといって変わることはありません

無宗教の場合の表書きに注意

無宗教のお葬式とは、特定の宗教宗派によらずに執り行う葬儀形式です。お葬式の内容は、ある意味自由です。無宗教と言っても宗教的な行為をしてはいけないという意味ではありません。たとえば、無宗教葬でもお焼香をすることはあります。

香典を持参する際は「御霊前」の表書きが無難です。そのほか、無宗教では「御香典」「感謝」「御供養」「御花料」などの表書きも使用されることがあります。香典額は、他のお葬式タイプと変わりありません。

香典の用意の仕方をケース別で解説

自分で香典を包み、お葬式会場に持参し受付で渡すというスタイルが多数です。一方で、それ以外の香典を渡すスタイルも存在します。たとえば、遠方から郵送する場合、他の参列者に香典を託す場合、グループで香典を渡す場合です。

せっかく用意する香典ですから、失礼のないよう相手の手元にお渡しするためのケース別に存在するマナーも確認しておきましょう。

遠方から送る場合

遠方から香典を送る際は、現金書留で郵送する方法をとります。普通郵便や宅配便で現金を送ることは法令違反になりますので注意しましょう。なお、現金書留を利用する場合には、郵便局の窓口に足を運んで手続きをする必要があります。

香典を郵送する場合には、手紙を添えると丁寧です。香典とは別に弔電を送るケースもあります。手紙も弔電も、文章の書き方についてお葬式ならではのマナーがあるため、確認しておきましょう。

代理で包む場合

諸事情により葬儀に参列できない場合には、自分に代わって他の人に香典を持参してもらう方法もあります。自分自身が参列して香典を持参するのが最善ですが、代理人に持参してもらうこと自体が失礼にあたるということはありません。

代理で香典を持参する立場であっても、代理人から香典を受け取る立場であっても、それぞれ必要なマナーは把握しておきましょう。

グループで包む場合

個人で香典を包むのではなく、グループで包むケースもあります。たとえば、職場や趣味の仲間が数人でひとつの香典を包むような場合です。

個人で香典を包む場合には、自分の名前を袋に記します。一方、多人数のグループで包む場合には、袋の表にそれぞれの名前を書くことはしません。たとえば「〇〇課一同」「〇〇会有志一同」などと表記します。

人数や状況によって対応方法が変わってきますので、適したマナーを知っておきましょう。

香典のマナーこれ・だけは押さえておきたい基礎知識

金額の過多、お札の枚数や金額、新札の是非、お札を入れる向きといったマナーは、香典袋の選び方、書き方、渡し方と比べ、意外と見落としがちです。

気持ちを込めて香典を包んでも、包み方に問題があることによって、遺族をはじめ関係者に不快感を与えることになっては困ります。ここでは香典を包むときのマナーを確認しましょう。

香典金額が多いのは失礼?

香典には、もともと遺族を経済的に助けるという意味もありますが、香典の金額は多ければ多いほど良いというわけではありません。香典の金額が多すぎるのは即失礼にあたるわけではありませんが、相手に負担をかけることになりかねないので注意すべきでしょう。

これは、高額な香典に対して、遺族が高額な香典返しを別途用意することにもなってしまうためです。また、いずれ参列してくださった側にお葬式があったときに、遺族は同程度の金額を香典として返す必要も生じてしまいます。

香典に偶数の付く数字は避ける

結婚式などの慶事の祝儀と同様に、香典にも偶数の付く数字は避けるという考えがあります。偶数は割り切れる数字のため、「縁が切れる」「故人とこの世のつながりが切れてしまう」ということを連想させてしまうからです。

奇数の金額であってもお札の枚数が偶数になることは避けましょう。例えば、1万円を1万円札ではなく5,000円札2枚で準備することです。また、奇数だとしても「9」は「苦」を連想させるため避けましょう。

5,000円を包む場合、1,000円札が5枚ならば奇数なので何の問題も無いのですが、遺族が後から数えやすいように極力5,000円札1枚にまとめましょう。

香典に新札はなるべく使わない

結婚式などの慶事では新札を使用することが基本的マナーですが、通夜式やお葬式など弔事に持参する香典で新札を使用するのは良くないこととされています。新札を香典に使用しないのは、「不幸の発生を待っていたようで良くない」とされているためです。手元に新札しか無い場合は、あらかじめ折り目を付けてから使用します。

新札は良くありませんが、シワや折り目がたくさんついていたり、破れていたりするボロボロの傷んだお札も良くありませんので程よく使用感のあるお札を選びましょう。

お札を入れる向き

香典袋にお札を入れるときの向きについて、厳密な決まりはありません。しかし、お札の肖像画が印刷されている側を裏側にして、さらに肖像画が下にくるようするという方法がマナーとして浸透しつつあります。

お札が複数枚になるときは、お札の向きをそろえておくことが最低限のマナーです。

香典袋の書き方を分かりやすく

香典袋は、不祝儀袋のひとつです。香典袋にもさまざまな種類があり、どれを選べばよいのか分からない人も少なくないでしょう。金額に合わせてどのような袋を使うのか、袋に記載すること、書き方など一定のマナーが存在します。

香典を持参するにあたって困らないためにも、香典袋に関して基本的な部分を確認しておきましょう。

ケースに合った香典袋を正しく準備する

たとえば、水引が印刷されているタイプの香典袋もあれば、水引が印刷ではなく取り外しが可能なタイプの香典袋もあります。また、水引の色についても双銀、黒白、銀白、双白、黄白などさまざまです。

たとえば水引の印刷有無に関しては、香典の金額によって使い分けをする慣習があります。香典袋の選び方にも十分な配慮が必要です。

外袋の書き方

外袋には、表書き、香典を出す人やグループの名前、住所、香典の金額を書きます。全て香典袋の表側に書くわけではありません。表側と裏側、それぞれ書くことが違います。

表書きについては「御霊前」と「御仏前」の使い分けがよく分からないという人も多いのではないでしょうか。香典袋の書き方も葬儀参列時におさえておきたいマナーです。

中袋・中包みの書き方

香典の外袋には、薄墨の筆や筆ペンを使用して表書きをすることがマナーです。一方、中袋や中包に金額や住所を記入する際には、筆や筆ペンではなく黒いペンでも構いません。

中袋や中包には、大字(だいじ)を使用して金額を書きます。大字とは、改ざん防止のため、古くから使われてきた漢字です。現在でも会計や登記など重要な文書で使用されています。下記は大字の一例です。

漢数字大字
1
3
5
10

香典以外のお悔やみの気持ちを伝える方法

香典に加えてお供え物も贈りたいと考える人もいるかもしれません。香典と一緒にお供え物を贈ることは、より故人や遺族を思いやる気持ちを伝える手段のひとつでしょう。

お花と線香は、香典と一緒に贈る代表的なお供え物です。しかしながら、お花や線香ならば、なんでもよいというわけではありません。ここでは、お花や線香の選び方、贈り方のマナーを紹介します。

お花

お供え物としてのお花には、供花、花輪、枕花、花束など、いくつかの種類があります。なかでも贈られることが多いのは供花です。

お葬式ではタブーとされるお花もあります。たとえば、においの強い花、とげや毒のある花は不適切とされているので注意しましょう。

お花を贈りたい場合には、葬儀社、生花店が主な依頼先です。最近はインターネットで注文を受け付けている業者も見られます。葬儀会場によっては、他業者の供花持ち込みが禁止されているところもありますので事前の確認が必要です。

・線香

仏様をお祀りし、故人の供養にあたって、仏教では「香り」「花」「灯り」が特に重要視されています。香りにあたるのが線香です。線香を贈る際には、なるべく良い香りのものを選びましょう。仏教上、線香で大切なのは立ち昇る煙ではなく「香り」です。

線香を贈るときには、「御供」や「御供養」などと表書きを記した掛け紙を掛けます。掛け紙の水引も香典同様、黒白の結び切りなどです。

香典は所得として申告するべきなのか(喪主側)

給与所得や不動産の売却による所得など、何かしらお金が入ってきたときには税金を払うことがあります。では、受け取った香典も所得の申告や税金の納付をしなければならないのでしょうか。

個人と会社でも対応は異なります。香典に関する税金の基本的な知識も確認しておきましょう。

香典に対する税金の扱い

個人が受け取った香典については、税金がかかりません。ただし、受け取る人や香典を出す人の立場や関係性などを踏まえたうえで、社会的通念上相当な金額であることが条件です。そういった意味でも香典額の目安を知っておくことは大切でしょう。

一方、社葬や法人葬などで、会社が香典を受け取った場合には、雑収入にあたり課税対象となり、税務申告も必要です。

・香典を申告するときの項目

会社が香典を受け取った金額については、雑収入または雑所得の項目で計上することが一般的です。

逆に会社として香典を出した場合には、経費として計上できます。何の経費項目で計上するかは、誰に対して香典を出すかによって変わってくる点に注意しましょう。

たとえば、自社の役員や従業員が亡くなった場合に持参する香典は「福利厚生費」、取引先の役員や従業員が亡くなった場合に持参する香典は「交際接待費」で処理するケースが多数です。

香典を辞退したい場合はどうする?(喪主側)

昨今は、家族葬や火葬式など小規模なお葬式を中心に、香典辞退とするケースも多く見られます。香典を辞退するかどうかは、基本的に故人や遺族の意向に基づいて判断すれば差し支えないでしょう。

香典辞退をすることにより、香典による収入はなくなりますが、香典返しを用意する手間の回避や、参列者の経済的負担の軽減にもつながるメリットがあります。

ただし、香典辞退をする場合には、参列者が戸惑うことのないよう案内方法に充分な配慮が必要です。

生活保護を受けていたら?喪主側の注意点と参列者側の配慮

生活保護を受けていた方がお葬式に関わる場合、喪主側でも参列者側でも注意しておかなければならないことがあります。ひとつは生活保護の葬祭扶助を利用する場合です。この場合において香典を受け取って良いかどうかについては、受け取ることは問題ありません。

一方、生活保護を受けている人がお葬式に参列する場合の香典はどうでしょうか。この場合は、香典を持参して差し支えありません。ただし、香典を包むための特別な扶助を受けることはできない点に注意しましょう。

・香典返しは香典をくださった方へのお礼の気持ち

参列者は香典を持参することが一般的慣習となっています。これに対して、香典をいただいた施主・遺族はお礼をすることが礼儀です。香典をもらいっぱなし、というわけにはいきません。

いただいた香典に対するお礼の気持ちの示し方として定着しているのが「香典返し」です。香典返しの対応で困らないように基本的な知識をお伝えします。

・香典返しとは

香典返しは、返礼品のひとつです。一般的には、いただいた香典の金額の1/2~1/3程度に相当する品物を用意します。一般の参列者が持参する香典の平均的金額が5,000円ほどであるため、香典返しは2,000円~3,000円くらいの品物を選ぶ方が多いようです。

また、香典返しの渡し方には「即返し」「後返し」があります。地域の慣習や、それぞれの渡し方のメリット・デメリットも知っておきたいところです。

・家族葬の香典返し

家族葬でも香典をいただいた方には香典返しをすることがマナーです。仮に香典辞退の案内をしていたとしても、香典を受け取ることがあるかもしれません。香典辞退の意向であっても、香典を受け取れば香典返しが必要です。

なお、特に少人数の家族葬では受付を設けないことが多くあります。即返しとする場合には、香典返しを参列者に渡す場所やタイミングを葬儀社スタッフと打ち合わせしておきましょう。

一日葬の香典返し

一日葬においても香典返しのマナーは、基本的に一般葬や家族葬などと同様です。香典を頂いた方には、香典に対するお礼の品物として香典返しを渡します。

一日葬は、通夜式を行わないことで経済的、身体的負担が少なく、また昨今の感染症対策に対する関心の高まりなどから、増えつつある葬儀形式です。しかし、香典返しに関するマナーは従来のお葬式と変わらないと考えてよいでしょう。

まとめ

香典は、お香をお供えする代わりに包むお金、お互いに助け合う行為(相互扶助)という意味合いを持ちます。

香典の金額は、故人との関係性、地域性、自分の年齢や社会的立場といったことがらも考慮しながら、記事の中で紹介した相場・目安を参考に検討するとよいでしょう。そのほか、香典袋の選び方、渡す方法、香典返しなどに関するマナーも心得ておくことも肝心です。

お葬式では香典をはじめ何かと分からないことが多いものです。そうしたときはかぐやの里メモリーホールにご相談ください。知識・経験豊かなスタッフが分かりやすく丁寧にサポートいたします。

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