終活の豆知識㉙(任意後見制度について)

今や終活は身近に感じるようになりました。お葬式・お墓・相続について、生前から考える方が増えています。皆さんは「任意後見制度」はご存知でしょうか?認知症や介護、また親族が近くにいないなど、様々なリスクに対して備える制度です。その制度について、かぐやの里メモリーホール富士の中村雄一郎さんに聞いた。

 

【終活とは】

亡くなったら連絡してくださいというスタンスの葬儀屋さんは未だ多くあります。弊社はスタンスとして「元気な時から子どもに負担をかけない終活」として様々なサポートをしております。元気な時からだから出来ることがたくさんあります。片付けや相続など身の回りのこと、旅行や家族会など思い出作りなど、元気な時だからやっておくが、将来への備えだけではなく今を充実させることにも繋がります。

 

【将来のリスク】

病気による体の不具合のみならず、認知症によって判断能力が低下することもリスクです。そうなってしまった場合、出来ることが限られ、結果的に家族に大きな負担をかけることになります。現在、介護や看病されている皆様はそのご負担を充分ご理解かと存じます。そうなってしまった時には自身ではどうにも出来なくなってしまいます。

 

【任意後見制度とは】

任意後見制度は、将来に判断能力が不十分となったときに備えるための制度です。本人の判断能力があるうちに、自らの判断能力が低下した場合における、財産管理・介護看病・お葬式やお墓の事など、その事務や執行を信頼できる方に依頼し、引き受けてもらう契約です。

この契約を任意後見契約といい、依頼するご本人を委任者、引き受ける方を任意後見受任者(任意後見人)といいます。また、任意後見契約は公正証書により締結します。

ちなみに、よく聞く成年後見制度と任意後見制度の違いですが、任意後見制度は成年後見制度のうちの一つです。成年後見制度には大きく2つあります。判断能力が不十分になる前に本人が、ご自身の意思で後見人を決定できる制度が任意後見制度。判断能力が不十分になってしまった後に、周囲の方などが申し立てを行い、家庭裁判所が後見人を選定する制度は法定後見制度と言います。

 

【後見人との連携】

私が静岡県社会福祉士会に勉強会講師として呼ばれ、実際に後見人となっている皆様と直接意見交換をした時から、後見人制度の将来的必要性をとても感じました。今後ますます需要が高まる後見人制度ですが、ご逝去後の対応について我々葬儀社が遺族や後見人のサポート役になる必要も感じました。それはご逝去後の葬儀のみならず、納骨先の選定・お墓の維持管理・墓じまい・死後事務委任契約など、幅広い範囲でお手伝いすることが求められています。そんな思いから、昨年度よりかぐやの里メモリーホール富士は静岡県社会福祉士会の賛助会員として協力させて頂いております。

 

【結び】

成年後見人制度は、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行された後、年々増加しております。その反面で、後見人となる方が増えないのが現状です。社会福祉士の方々は、本職を持ちながらの活動となる為、その負担も大きくなります。超高齢化社会を支える中で、我々も更なる業務の幅を拡げて、より多くの方々に役立てるよう努力をして参ります。