終活の豆知識㊹遺贈について

目次

「私の残した財産の一部を自分の遺志としてお世話になったところへ送りたい」と考える方が年々増えております。遺贈という寄付の形はご存じですか?静岡市が遺贈の普及に向けて本格的に動き出すなど、近年注目をされる遺贈寄付について、かぐやの里メモリーホールの中村さんに聞いた。

遺贈とは

大切な遺産を通じ、ご自身や故人の想いを次世代へつないでいく。人生の最期をむかえるときやご家族や大切な方とのお別れのときに行う寄付は、「遺産寄付」や「遺贈寄付」と呼ばれています。なかでも、ご自身が遺される財産について、遺言書を通じて法定相続人以外の団体や行政に贈ることを「遺贈」いいます。相続財産の一部を遺言を通じて「亡くなった後」に寄付する取り組みです。老後のお金の心配をせずにできる新しい社会貢献の方法です。数千円の小額から誰でもすることが可能で、教育・環境・医療・貧困・文化・動物・地域・災害支援など、応援したいNPO法人・財団・社団・大学・市町村などを寄付先に選択し、最後に残った財産の一部を想いとともに未来へ託すことができます。

相続の在り方

人が亡くなると、民法にしたがい相続が行われます。亡くなった方の財産を引き継ぐ親族の範囲(法定相続人)や相続する財産の割合は、民法で定められています。もちろん、法定相続人の誰にどういった割合で財産を遺すのか、遺言書で指定することもできます。なお、民法では法定相続人のうち被相続人(遺言者)の配偶者、子ども、父母が一定の割合の財産を取得する権利も保障しています。これを遺留分といいます。たとえば、遺言書で指定されている遺贈や相続分が遺留分を侵害していた場合、上記の法定相続人は、侵害額に相当する分の金銭を請求する遺留分侵害額請求権を行使することができるのです。遺贈では、財産を贈る相手は法定相続人以外の個人、又は団体で、遺言書で指定します。また、遺贈先が公益法人や認定NPO法人であれば相続税は課税されません。手続きなど詳細については、遺贈先の団体に直接ご確認ください。

遺贈の仕組み

高齢世代が保有する資産は、若年層の約8倍。長寿化で老後資金に対する不安から、社会貢献したくても自由にお金を使うことができません。高齢化が進展する社会では、相続でのお金の循環も、高齢者間で回っているというのが現状です。

それらの一部を自分の遺志で分けることができるのです。

広がる遺贈に対してサポート

一般社団法人日本承継寄付協会は、2022年4月22日(金)に静岡市と「遺贈寄付を通じた地方創生の推進に関する連携協定」を締結しました。本協定により、静岡市への遺贈寄付に関する情報発信や相談業務の連携を行い、市民ニーズへの対応と遺贈寄付の普及を目指すとのこと。先日に同協会の三浦代表理事とかぐやの里メモリーホールの協力体制の元で、富士市でも情報発信を行うこととなりました。いずれは行政や士業関係者とも連携して更なる連携も模索していく予定です。

遺贈に関するご質問

かぐやの里メモリーホール富士 0545-52-7600(9:00-17:00/平日土日祝可)

一般社団法人日本承継寄付協会 03-3868-7011(9:00-18:00/土日祝除く)

遺贈は恩贈り(おんおくり)

先日に私の母が富士市役所を通じて富士市福祉基金への遺贈を決めて、遺言書を作成しました。遺言書には、富士市の福祉基金へ遺贈して使用用途して『富士市内のこども食堂の支援事業のために使用してください』と明記しておりました。母になぜ遺贈を決めたのかと尋ねると、「自分の孫たちが楽しみに通うこども食堂を応援したいのと、こども食堂を支える同年代のボランティアの方々への感謝の気持ちとして、私が出来る範囲で役立ててもらいたい」とのことでした。自分の家族に残す分と共に、その一部を誰かのために残すことは、恩返しより恩贈りだと実感しました。