終活の豆知識㊺「おひとりさま」時代のエンディング

「おひとりさま」時代のエンディング

現在、おひとりさまと言われる単身世帯が増えている。最新の2020年国勢調査によると1世帯当たりの人数の全国平均は2.27人となり、5年前の調査から0.11人も減少している。これはつまり、単身者が増えており、それは血縁関係者の減少や地縁的な関係の希薄化である。いずれは自分ごとになるかもしれないおひとりさまのエンディング状況について、かぐやの里メモリーホールの中村さんに聞いた。

人口統計からみる課題

言うまでもなく日本全体で人口減少が進んでおり、今後もその流れは加速していく。その中で大きな課題は、2025年問題と2040年問題である。2025年問題は、第一次ベビーブームの団塊世代が75歳以上となり、国民の5人に1人は後期高齢者になる。続いて、2040年問題は第二次ベビーブームが65歳以上となり、高齢者が約4,000万人となり、高齢者人口がビークに達すると推計されている。その時の現役世代は約6,000万人なので、1人の高齢者を1.5人の現役世代で支えなければならない危機的状況を迎える。

増え続ける死亡人口

高齢者が多くなるにつれて、死亡者数も増加する。2020年に138.5万人だったのが、2040年には166.9万人と推計されて、この20年間で28万人もの増加が見込まれる。これは富士市でも例外ではありません。

おひとりさまの増加

おひとりさま世帯(単身世帯)は未婚や配偶者逝去など様々な要因で増えている。2040年の男性生涯未婚率は約3割、女性も2割弱と推計されている。そもそも、2010年時点から、「夫婦と子供世帯」より「単身世帯」の多くなっており、それが最多となっている。日本社会において単身世帯が一番多いという事実は過去になく驚く事態である。2040年には65歳以上の高齢者単身世帯が882万世帯になると推計されている。

おひとりさま世帯は、未婚者に限らない。お子さんがいない夫婦やお子さんに頼れない頼りたくない世帯もその可能性がある。結婚していない「未婚シングル」、配偶者と別れた「離婚シングル」、配偶者に先立たれた「死別シングル」、子供に頼らない「自立シングル」など立場は様々です。2040年には65歳以上の単独世帯は約40%になり、1/3は結婚せず、1/3は離婚、1/3は添い遂げると予測されている。

法的な課題

これまで「福祉」は生者だけを対象にしており、死者を対象にしてこなかった。わずかに、生活保護法による葬祭費給付と行旅病人乃行旅死亡人取扱法による措置はあるものの、増えているのは葬祭費給付であり、身元もはっきりしているが死後のことを託す者がいないケースであって、先の2つの法律の範疇を超えた、既存法律が想定していない事態が進んでいる。生活保護世帯の葬祭費給付も自治体によって解釈が異なっており、給付の差が生まれている。

死後サポートに新たな取り組み

おひとりさま世帯において喪主がいないというケースは珍しくなく、今後さらに課題となってくるでしょう。かぐやの里メモリーホールでは、おひとりさま世帯向けの『おひとりさまエンディング総合サービス』を2022年から開始しました。従来、葬儀社は死後直後のサービスがメインでした。死後直後のサービスとは遺体安置から火葬までと言った範疇で、喪主がいる前提でのサービスでした。私が3年前から社会福祉士会の皆様と交流を重ねる中で、喪主がいないケースを多数お手伝いして参りました。そのような場合は、先のサービスでは足りずに、これまでの葬儀社のサービスの枠を超えたサポートが必要でした。そこで、かぐやの里メモリーホールでは、「逝去時のお迎え~火葬」と言った従来の葬儀社サービスに加えて、「入院先や入所先の把握」から始まり、「危篤時の対応」「納骨先確保」「遺品整理」「財産整理」「各種手続き」を全て行う総合サービスを始めました。既に生前契約を多数受けており、今後も更に増えていくと思われます。

他業種と行政との連携 かぐやの里メモリーホールが始めた『おひとりさまエンディング総合サービス』などは、今後は他葬儀社でも生まれてくるでしょう。また、後見人を務める社会福祉士さんや死後事務委任契約をする士業さんなどにも有益なものであり、何より将来を不安視する単身世帯に少しでも安心を届けられればと思います。「お墓を決めても死後に誰がお葬式してお墓にのうこつしてくれるの…?」そんな心配する声をたくさん聞きます。社会福祉士さんや士業そして行政と、連携を更に深めながらおひとりさま世帯の課題に取り組んで参ります。