お寺のお布施について 終活の豆知識(52)
葬儀の際に気になるのが、お寺へのお布施。その実情については一般的に不明な点も多いのではないでしょうか? 今回はお寺のお布施について、かぐやの里メモリーホール代表の中村さんに聞いてみました。
お布施とは
お布施とは、読経をして頂いたり、戒名を授与して頂いたりした際に、感謝の気持ちとしてお渡しするものです。お葬式の際のお布施は、読経代プラス戒名代を合わせてお布施と呼びます。お寺によって異なる場合もありますが、戒名代は生前に納めているケースもあり、葬儀の際に読経代のみ納めるということもあります。お葬式や法要など様々な時にお寺様にお渡しするものになります。
お葬式のお布施の相場
お布施の金額は、宗派ごとでは無くお寺ごとに異なります。同じ宗派でも考え方が異なることから、相場は違ってきます。また、檀家内でもお付き合いの度合いによって異なってきます。よって、菩提寺が有る場合は、しっかりと相談するこが大事です。
戒名の位も、一般戒名から院号まで幅があります。中には、位がない宗派も存在します。先ほどの理由から、参考にならないケースもありますが、東日本の寺院相場として、20万円~50万円と言われます。
かぐやの里メモリーホールで、お寺様を紹介する場合のお布施金額は定額制となっており、ホームページに記載しております。
お布施を渡すタイミング
お葬式の際にお布施を渡すタイミングとしては、お寺から指定がある場合はそれに従いますが、指定がない場合は、通夜式や葬儀式の前にお渡しするといいでしょう。「よろしくお願い致します」という気持ちを込めて、先にお渡ししておきましょう。
お葬式以外のお布施
法要は、亡くなった故人の霊を供養するために行われる仏事で、亡くなった後の節目ごとに行われます。四十九日法要、一周忌法要、三周忌法要、七回忌法要などがあります。法要以外の儀式についても納骨式(遺骨をお墓に納める儀式)、仏壇やお墓の開眼供養(仏壇やお墓を新しくした際に行う儀式)、墓じまい(お墓を解体して管理者に返す)などがあります。
お布施の包み方
お布施は、奉書紙(ほうしょがみ)、お布施封筒、白い封筒などで渡すのが一般的です。奉書紙は、儀式用の文書、入学式などの催事、目録などによく使われます。楮(コウゾ)の皮を原料にして漉(す)かれたもので、軟らかくて丈夫な和紙です。白い封筒を選ぶ際には、郵便番号の欄がついていない封筒や、二重になった封筒(不幸が重なることを連想させる)を使わないなど注意が必要です。
お布施封筒の水引について
香典(葬儀で故人に供える金品)には、白地に黒のラインが入った水引(みずひき)が入っています。しかし、お布施で使う封筒には、原則的に水引は必要ありません。水引には不幸を追い払う意味が込められていますが、お布施はお寺に果たすもので、お寺に不幸があったわけではないからです。ただ水引が間違いではないので、水引があっても問題ありません。
2日間のお勤めだけの費用ではない
年々お寺様とのお付き合いが希薄になっている方も増えております。「お葬式の2日間で〇〇万円は高い」とおっしゃる方もおります。そんな時は、このお布施は2日間のお勤めだけの費用ではないことをご説明させて頂きます。
現在の日常において、家族が亡くなってから四十九日の間に毎朝毎晩お経を家族が唱えるのは難しいことです。お寺様は家族に代わって四十九日間ずっと読経をあげてくれています。そして、その先である四十九日以降、何年にもわたって毎日ご先祖様に対してお経をあげてくれていると考えるとどうでしょうか?
日常生活において、忘れがちな供養や読経を家族に代わってしてくれているお寺様へのお礼ならば、決して高いものではないと思います。現代におけるお寺様との関係は変わってきておりますが、お寺様は家族やご先祖にとって理解者であることを考えながら、関係を築いていきたいものです。