海洋散骨とは 終活の豆知識58
現在、お骨の供養の仕方は多岐にわたります。一般墓、永代供養墓、樹木葬、納骨堂といったお骨を収める形の供養もあれば、形を残さない散骨という供養もあります。散骨は海であったり山林であったり決められたルールの中で行われる供養の形であり、今回は海洋散骨について、かぐやの里メモリーホール代表の中村さんに聞いてみました。
多様化する納骨スタイル
昔は墓地を購入して墓石を建てる一般墓が大多数でした。将来に備えてお墓を準備しておかなくては…という方もいらっしゃったでしょう。現在は大きく変化しております。
2023年に国内最大手のお墓のポータルサイトが、都市部や地方を含めた全国的な調査を行いました。その結果によると、2023年に新しく納骨先を購入した先は、1位樹木葬(51%)、2位納骨堂、3位一般墓、4位その他(永代供養墓や海洋散骨など)となりました。約10年前から一般墓を購入する人は減っており、代わりに樹木葬や納骨堂などが増えてきました。
理由としては「次の世代に影響がないようにしたい」「跡継ぎがいないので自分たちで完結できる供養にしたい」などが挙げられます。その中で以前からある供養の形が海洋散骨です。
散骨の歴史
諸説ありますが、散骨は万葉集に歌が残っており、平安時代に淳和天皇が散骨したと伝えられています。
その後は江戸時代に入り檀家制度が強化されて、寺院仏教の影響を受けるようになりました。当時はだれもが檀家になることで、今で言う戸籍管理を担っていたので、檀家制度が広まりました。その理由も有り、仏教のお葬式が増えてお寺にお墓を作ることが増えてきたのです。
そして、現在になると墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)によって厳格化され、火葬してから遺骨を墓地(一般墓)に埋葬するスタイルが一般化してきました。
お墓が無い方などはどこかのお墓用地を求めることが増え、高度経済成長期には各所霊園が出来るようになりました。
海洋散骨の解釈
先の墓埋法では、墓地以外への埋葬が禁止されております。しかし、90年代に入り、法務省は海洋散骨について「葬送を目的として節度を持って行う限り、死体遺棄にはならない」という見解を示し、また厚生労働省も「墓地埋葬等に関する法律は散骨を対象としていないので、自然葬を禁じた規定ではない」という見解を示しました。
このころから業界団体も適切な運用を模索するため、協会を設立してルール作りなどを行い、国道交通省が「海上散骨に関するガイドライン」を策定するに至りました。
適切な散骨
業界団体がここまで来るまでには、先のような歴史がありました。ガイドライン策定以前は、勝手なルールで散骨を行う不適切業者が多々ありました。船舶免許さえあればと勝手に運行してしまう業者が増えたこともあり、一部の自治体では散骨を禁止する措置を講じる事態にもなってしまいました。適切な海洋散骨運用と散骨のイメージの向上を図るべく、業界団体が努力を重ねてきました。
私も都内葬儀社で勤務してきた当時から、海洋散骨の表と裏の状況を耳にすることがありましたので、かぐやの里メモリーホールも適切な運用を行う海洋散骨業者さんと提携しております。
海洋散骨というセレモニー
海洋散骨は船に乗ってお骨を撒くだけではありません。事前にお骨をパウダー加工して、透水性袋に入れて海に撒きます。撒く場所もGPSで場所を確認してどこに撒いたのか、分かるようになります。そして生花を共に撒くなどお別れのセレモニー形式で執り行えます。
船内で祭壇を用意して会食するなど最後のお別れ会を執り行ったこともあります。撒いた場所をGPSで計測するので、一周忌など区切りの時に散骨場所を特定し、また会いに行くこともできます。
ただ海に撒くのではなく、大切な方とのお別れの時間として散骨を行います。費用は様々ですが、最もリーズナブルな価格だと55,000円から対応が可能です。
海洋散骨という選択肢
石原裕次郎さん(俳優)立川談志さん(落語家)勝新太郎さん(俳優)などが海洋散骨を行っております。海洋散骨は地元の駿河湾はもちろん、北海道から沖縄までの日本各地の海や、ハワイやグアムなど海外でも可能なので、思い出の地で供養ができます。
様々な供養スタイルが増えた現代で、ご自身や家族の供養先を考える際に海洋散骨も考えてみてはいかがでしょうか? 詳しく知りたい方や、適切運用している海洋散骨業者のご紹介を希望される方は、遠慮なくご相談ください。
かぐやの里メモリーホール
電話 0545-52-7600