エンディングストーリー① 思い出をもう一度

かぐやの里メモリーホールでは、100名いれば100通りのお葬式を提供するために、エンディングプランナーが全てのお葬式で工夫を凝らしています。ご家族のお考えを超える葬送の時をプロデュースするエンディングプランナーの実話をお伝えします。

2023年1月、吉原地区に住む奥様が、吉原商店街にあるかぐやの里メモリーホール吉原に足を運びました。その時の奥様の心情は、深い不安と孤独に包まれていました。

ご主人が入院し、面会すら叶わぬ中、感染症に冒されたことがわかり、辛い日々が続いている状態。そして、ご逝去に際して何をどうしたらよいか全く分からない不安感。それを解消すべく生前相談をされました。

そしての5日後、思いがけずの分かれ。ご主人がこの世を去ったのです。奥様は深い喪失感に打ちひしがれました。

コロナ禍の影響で面会制限が続き、家族との貴重な時間が奪われた中での闘病生活。しかし、奥様はせめてもの願いとして、ご主人を心安らかに送りたいと切望しておりました。そのため、参列しやすい場所を求め、一般参列も考えて日乃出町のかぐやの里メモリーホール富士を選択しました。

エンディングプランナーの野田は、お葬式の打ち合わせの最終に、奥様から数々の思い出話を聞き、その中で奥様の笑顔を見つけました。家族全員での旅行話には、たくさんの思い出があり、自然と笑顔で振り返ってくれたのです。

そこでエンディングプラナーの野田はなぜ亡くなったかではなく、生きてきた喜びを思い出してほしいと強く感じたのです。そして特別な計画を練りました。

そして打ち合わせ終了後に会社に戻らず、野田は車を走らせ伊東温泉まで向かいました。それはご家族が最後に訪れた温泉旅館でした。家族が共に過ごした幸せな時間をもう一度感じてほしいとの願いを込めて向かったのです。

お葬式の日、故人の好みを取り入れた花や写真が飾られ、温かい雰囲気が漂っていました。そこには多くの方から故人をしのぶ言葉もあふれていました。そしてお寺様の儀式が終了していよいよご出棺というタイミングで、野田が用意した品が登場しました。

それは旅館の温泉水でした。「家族みんなで訪れたあの温泉で、最後にお身体をぬぐってあげてください。そして故人様と家族であの思い出を大切にしてください」と語りました。その温泉水をくむ際には旅館の方々も快く理解してくれて源泉をくむのに一緒に協力してくれたのです。その温泉水で故人の両手をぬぐう瞬間は、家族にとって永遠の思い出となりました。

奥様が涙を流しながらも、故人の笑顔を思い出し、穏やかな表情を見せると、参列者たちも感動の涙を流していました。故人の人柄と家族とのほのぼのとした時間を想起し、故人をしのぶことができたのです。

葬儀が終わり、参列者たちは感動を隠せませんでした。故人を送る最後の別れが心に深く刻まれた瞬間でした。家族や友人たちは野田に深い感謝の意を述べ、この特別な日を支えてくれたことに感謝の気持ちを示しました。

奥様は故人を永遠に心にとどめ、その愛情と思い出を大切に育てていくことでしょう。そして家族と共に、これからも幸せな思いでを共有していくのです。